treedown’s Report

システム管理者に巻き起こる様々な事象を読者の貴方へ報告するブログです。会社でも家庭でも"システム"に携わるすべての方の共感を目指しています。

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非対応PCのWindows11アップグレードはオフラインで実行しておく

本番環境ではないものの、非サポートPCのThinkPadでWindows11アップグレードを試してみたところ、興味を引く違いがあったのでご報告します。
非対応PCのWindows11アップグレードはオフラインで実行するほうがいいかも、という内容です。

ThinkPad X260とT460

今回駆け込みで試してみたのはThinkPad X260とT460という同じ世代の二種類のPCです。

いずれもOEMではWindows10 22H2がOSとなっており、CPUはIntel Core i5-6300UとWindows11非対応PCとなっています。

既存のデータが要因でアップグレードがエラーになると切り分けが難しくなるため、いったんリカバリメディアで工場出荷状態に初期化して試してみることにしました。

また、アップグレードはWindows Updateでは実施できないため、Windows11 24H2のISOをベースにRufus作成のUSBメモリでアップグレードメディアを用意しました。

RufusはWindows11アップグレードの要件を回避したアップグレード用のUSBメモリを生成することができます。今回はこれを使って実行してみました。

エラーになる方とならない方

テスト的にWindows11アップグレードへは非対応のPCに対して、ThinkPad X260とT460の二種類でWindows11アップグレードを実行してみる作業を開始したのですが、最初に実施したThinkPad X260は特に何のエラーもなくアップグレードがすんなり完了しました。

オフライン状態でリカバリメディアで工場出荷状態に戻し、続けて工場出荷状態に戻ったX260(のWindows10が起動した状態から)に前述のRufus作成したWindows11 24H2メディアで「setup.exe」を実行してアップグレードを進めたところ、すんなりとWindows11アップグレードが完了し、Windows11が動作するThinkPad X260となりました。

これに気を良くしてThinkPad T460でも同じように実行してみたのですが、下記のエラーでWindows11アップグレードが進まないという動きになりました。

画面にあるように「インストールに必要な作業を確認しています。」という処理の段階で、エラーとなりました。
エラーメッセージのウインドウタイトルは「C:\$WINDOWS.~BT\Sources\SetupHost.exe」とあり、メッセージには「サポートされていない操作を実行しました。」と表示されて処理が中断します。

あれこれ試してみる

USBメモリ自体はX260でWindows11アップグレードが成功していたので特に生成したメディアで問題はないと切り分けました。つまりT460側の環境の問題だろうと考えます。

リカバリメディアで工場出荷状態に戻したというのも同じなので、インストール済の何かアプリケーションが引っ掛かるという過去にWindows11大型アップデート適用で体験した内容もたぶん該当しないだろうと予想しました。

  • 念のためBIOS(UEFI)設定を確認してみましたが、(対応していないバージョンとはいえ)
  • TPM SecurityはSecurity Chipという設定項目で「Active」となっていました。
  • SecureBootもEnableとなっています。
  • UEFI/Legacy BootはUEFI Onlyでした。
     ⇒同じ箇所にあるCSM Support欄は「No」となっているので無効になっていると考えられます。
  • 加えてWindows10のBitLockerは無効になっていることは確認しました。

特に問題ないな、同じ条件でX260はアップグレードできたし。

デバイスマネージャで「Synaptics FP Sensors」「Bluetooth関連」「Intel Display Audio(サウンド、ビデオ、およびゲームコントローラーにあるインテルオーディオドライバ)」がよく問題を起こすことがあるという情報を見て、念のため無効にしてみたのですが動作は変わらずエラーとなりました。

また、「C:\$WINDOWS.~BT」に残存した失敗したときのデータが影響する、ということもあったので、前述のデバイス無効化を実施した後、「C:\$WINDOWS.~BT」を言ったん削除してから試してみたのですが、状況に変化なしとなりました。

非対応PCを判別するチェックを回避するためのレジストリを追加するといい、という情報を確認して「HKLM\SYSTEM\Setup\LabConfig」にレジストリ設定を実施したのですが、これも効果はありませんでした。

しかし、Rufusで生成するUSBではこれらの非対応PCチェックを回避するためのUSBセットアップデバイスを作成していると思うのですが、改めてこれをWindows10側で実行する必要があるというのは何か違和感があります。

エラーが解消できず試した手順

結局あれこれ試してみた結果、エラーがどうやっても解消しなかったことから、Rufus作成したWindows11アップグレードメディアでUSBブートして、アップグレードを試してみることにしました。

Windows11アップグレードメディアで起動し、画面を進めていきます。

途中の、セットアップオプションの選択は、「I agree everything will be deleted  including files apps and settings」を有効にして進めました。

リカバリメディアで工場出荷状態にしている環境なので保持する必要があるデータもないということでクリーンなインストール状態を目指します。

画面を取り忘れたのですが、最後のインストール先には、Windows10のC:\であるパーティションを指定してWindows11アップグレードのインストールを進めました。

全てのオプションを選択するとWindows11アップグレードが進行していきます。

Windows10上からsetup.exeを実行した場合にはエラーで進行できなかったWindows11アップグレードが、USBブートで実行した途端にあっさりとWindows11アップグレードを完了し、ThinkPad T460はWindows11環境として起動してきました。

※この方法でも心配していたOEMのWindows10ライセンスを引き継いでいて「ライセンス認証の状態:アクティブ」と表示されているので問題なさそうです。

作業は完了、なんですが、これなんだったんでしょう。

個人的な推測と考えたこと

こうして、エラーの発生していたT460側はUSBブートからWindows11インストールを実行し、無事Windows11アップグレードが完了しました。つまりWindows10上からsetup.exeを実行せず、USBブートならアップグレードが正常に動作したというわけですが、なにがそんなに問題だったのでしょうか?

あと不思議なのは、同じUSBを使ってThinkPad X260はアップグレードが問題なく完了したということです。X260のアップグレードはWindows10上からsetup.exeを実行してアップグレードし、正常に完了できました。XとTという違いはあるものの同世代で同CPUの二台でこんなに差があるのは不思議です。

冷静にX260で上手くいった時を思い出しながら、T460の状況と比べてみたところ、二つの違いはネットワークがオフラインだったかどうかという違いがあったような気がしてきました。

T460はLANケーブルを接続して通信可能な状態でWindows11アップグレードを実行していました。
よく思い出してみるとX260の方はWi-Fiも接続(接続先がない部屋の環境)しておらず、LANケーブルも接続せずに作業を実施していました。(これはなんとなくそうしただけなのですが)

意識していなかったのですが、もし通信可能な状態でRufus作成したWindows11アップグレードメディアを実行した場合に、オンライン状態でのみ動作する(Dynamic Update?)チェックプログラムでappraiser.dllのような非対応PCチェックが別途動作するという場合、なんかシックリ来る感じがします。

動きとしてはWindows10上からsetup.exeを実行した場合にはオンライン状態から、いずこからか受信した新しい非対応PCチェックのモジュールが動作し、Rufus作成のUSBで無効化されている回避が有効でなくなる、という仮説です。

だとすると、OSリカバリからWindows11アップグレード(今回のRufus作成のUSBを使って)を実行完了するまでは全てオフラインで実行し、Windows11アップグレード後にオンラインにすれば問題なくできていたということになります。三連休の二日も時間を浪費しなくて良かったことになります。悔やまれます。

しかし、気づいた時にはもうこの仮説を確認するPCは残っていませんでした。残念ですが仮説は仮説のままでお蔵入りとなってしまいそうです。