treedown’s Report

システム管理者に巻き起こる様々な事象を読者の貴方へ報告するブログです。会社でも家庭でも"システム"に携わるすべての方の共感を目指しています。

※https化しました。その影響でしばらくリンク切れなどがあるかもしれませんが徐々に修正していきます。 リンク切れなどのお気づきの点がございましたらコメントなどでご指摘いただけますと助かります。

(2/2)過去のWindowsでしか動作しないアプリをEnterpriseで確保しておく

昨日の続きをご報告します。
※Enterpriseと表記している箇所について本記事ではEnterpriseとUltimateは同義とします。(同じRemoteAppが使えるエディションのため)

まずは図を再掲しておきます。
図:簡単概要図

f:id:treedown:20160213020453p:plain

構成についてさらに詳しく解説していきます。

構成の順番

ピースを当てはめていくと、「ゲストOS(仮想PC)」と「別のPC(OSを再インストールしてもよい)」のいずれかにWindows Enterpriseライセンスを使用してWindows Enterpriseをインストールします。このWindows EnterpriseはWindows10で使えないソフトウェアが動作するバージョン(Windows7Windows8など)のEnterpriseエディションをインストールします。
OSが準備できたら通常通りWindows Enterprise OSが動作するように設定し、使いたいソフトウェアをインストールします。
使いたいソフトウェアがWindows EnterpriseのOS上にインストールされたら、正常動作することを確認し、過去記事にあるRemoteApp設定を実行します。
併せて普段使いPCでWindows EnterpriseのアプリケーションにRDP接続(RemoteApp接続)するための.rdpファイルを生成します。
生成した.rdpファイルで接続し、アプリケーションの画面だけが普段使いPCに表示されることを確認します。
ざっくりですがこれでつかえるようになるのです。

なんでRemoteAppなのかを、もうちょっと詳しく

例えば普段使いPCがWindows10であれば、Windows10で動作しないアプリケーションを普段使いPCで利用することはできません。サポート対象外であれば将来(待っていれば)対応する、ということもありません。つまりWindows10に移行した時点で過去のソフトウェア資産は活用することができず無駄になってしまいます。
それならば動作要件を満たす動作環境のPCにインストールして使うことになりますが、複数台のPCを利用しているとどうしても考えてしまうのは「今使っている同じキーボードとマウス、ディスプレイでアプリを操作したい。」と考えるようになります。こうして、リモートデスクトップで旧環境のデスクトップを開き、旧環境のデスクトップ上で過去のソフトウェア資産を起動し画面を操作することになります。

いま座っている座席を移動して別PCを操作するのも面倒だし、リモートデスクトップでネットワーク経由で別PCのデスクトップを開いてしまうと、PCのデスクトップが広く使えない、という残念なポイントがあります。要するに旧OSでしか動作しないアプリケーションを使うためだけに、別のPC画面を開いたりor別のPCの入出力デバイスに切り替えたり、するのは面倒なことが多いです。

これをいま使っているPCの.rdpファイルをダブルクリックするだけで別のPCで起動するアプリケーションの画面だけが目の前のディスプレイに表示され、いま入力しているキーボードマウスで操作できるのであれば、十分に利便性の恩恵を受けることができます。

以前も書きましたが、いちいち使いたいPCでインストール作業を実行することもありません。インストールされているアプリケーションをそのままネットワーク経由でリモート接続しアプリ画面だけをゲットしてくるわけですから.rdpファイルというテキストファイルと対象PCへのネットワーク接続だけがあれば、旧アプリケーションをどのPCからでも使える、という点も当然メリットとなります。

まとめに入ります。

つまりWindows10でどうしても動作しないアプリケーションは、
「動作環境を満たすOS(PC)上で動作させたアプリケーションの画面だけをWindows10に持ってくる」
ことによって、
「疑似的にWindows10で動作しているような使用感で動作しないアプリを使うことができるようになる」
というわけです。
これであれば、RemoteAppに対応している一番古いOS=Windows7 Enterprise(Ultimate)で動作するアプリであれば、互換性を気にせず利用することができます。
要するに「古いアプリを実行する専用環境」としてWindows7 Enterprise(Ultimate)を別で用意するというわけです。なので、古い(Windows10に対応しない)アプリケーションは全部Windows7Enterprise(Ultimate)にあれもこれもインストールしてRemoteAppで使うようにすれば、
「Windows10で動作するかどうかなど気にすることもなければ」
「互換性確保のために苦労して試行錯誤(動作テスト)もしなくてよい」
ということになり、Windows10の大規模アップデートの際に戦々恐々としなくてよくなる、
という、素敵な状況です。

とはいえ、直接デバイスに働きかけるアプリケーション(例えば省電力マネージャーのようなバッテリ管理とか)はRemoteApp化したとしても、リモートで操作される側の管理しかできないので意味はありません。その場合はやはり互換性の問題をクリアする必要はあります。
とはいえ、サポート期限切れでWindows10で動作しないアプリケーションをどうしても使いたい、ということであれば、その手段を複数用意しておくことは後々何かの役に立つという考え方もできます。

この環境をWindows7Enterpriseライセンスを調達する2万円程度で実現可能なのですが、費用として安いとみるか高いとみるかは「互換性テストをしたくないアプリがどれだけ存在するか」によって変わってきそうですね。

もしWindows7 Ultimateのパッケージ版を余らせている方はぜひチャレンジしてみる価値はあると思います。

関連記事

RemoteAppやり方の解説はこちらでどうぞ

blog.treedown.net