本日はWindows10 Enterprise LTSB 2016で起動しないアプリケーションがある、と言うケースをご報告。
起動時やインストール時にエディション判定を実行するアプリケーションはLTSB(現在はLTSCと言います)のOSでは動作しない、という初遭遇のケース。
本文は表記をLTSBで統一していますが、現在はLTSBはLTSCと呼称されています。ただ、今回の対象OSが2016リリース(Windows10バージョン1607)時代のOSなのでその時の呼称LTSBで統一しています。
問合せ発生
「あるアプリケーションを起動するとエラーが出てしまう。」
こんな症状が報告され対処を依頼されました。
「Windows10移行を実施してから起動しないんですよね。でもアプリケーションの動作環境にはWindows10は明記されています。これ、OSが原因ですよね。」
対象の環境はWindows10 Enterprise LTSB 2016をインストールしたThinkPad X200で発生してしまいました。
アプリは(本題と関係ないのといろいろと制限があって)言えないのですが、でもかなりマイナーなアプリでお金出して購入するライセンス製品です。MACアドレスでライセンス認証するという動きをするちょっと厄介なソフトウェア。
やや、分かりにくい話でしたが、簡単に言うと、通常のWindows10なら動作するのだが、この環境ではWindows10 Enterprise LTSB 2016を利用しているので、そのせいだろう、ということのよう。
そのアプリケーションの動作条件にはエディションの縛りは掲載されていませんでしたが、Windows RTでは動作しない表記があります。ふーむ。RT以外なら動くという解釈で問題ないと思います。
発生したエラー
移行前のWindows7で利用していたあるアプリケーションを起動しようとすると、移行後のWindows10では以下のエラーが出て起動しない、という話。
さっそく確認。
エラー内容は
「エディションが不明なため、起動できませんでした。」
と表示、アプリは起動しない状況でした。
あー、なんとなく…、分かる気がする。
Windows10 Enterprise LTSB
「 Windows 10 S」や「 Windows 10(Sモード)」といった表記を見掛けたことがあるかと。
機能比較
https://www.microsoft.com/ja-jp/windowsforbusiness/compare
2018年からは「Windows 10 Enterprise in S mode」ってのが登場しています。これは「Windows 10 Sはまったく別の製品」と言う点はポイントの一つです。
で、くだんのLTSBはバージョン情報として、
こういう表記を(Intuneインベントリでは)返すことが分かっています。
もう一度動作要件を見てみると…
「Windows10 Sモードを利用する場合はSモードを解除してご利用ください」
って書いてあるじゃないっすか。
これがダメなのかなぁ…。
なんでLTSBを使うのか?
答えは簡単です。
一年に二回の大型アップデート(機能更新)を適用できない企業だから、ということです。ライセンスを全台用意してWindows10 Enterprise LTSBをインストールしています。現状は2016、つまりWindows Server 2016と同じコードベースのWindows10を利用してるって感じです。
定期的に大型アップデート適用を実施するための専任の担当者が居ない環境ということで、LTSBでセキュリティアップデートだけ適用されればそれでよい、という狙いで古いハードウェアのPCはすべてLTSBになった、と言う経緯。
Windowsアプリは使わないから、とにかく日々の運用に何も考えなくていいOSを、ということで選択されたLTSBでした。
でも今回はこの日々の運用が楽なLTSBが裏目に出てしまった格好。
対策を
とりあえずアプリケーションのサポートに相談、ということになりました。結局アプリの作りでエディションチェックをしていて、そのエディションチェックでLTSBの存在は考慮されていないから、単純にOSが返してくるエディション名から判断して、SモードのWindows10だろう?って判断しているように見えるのです。
この判定にWindows10 Enterprise LTSBを加えてもらえればいいだけ、という感覚はあります。LTSBはWindows10 SモードじゃないのでWindows7で動作していたアプリケーションなんだからLTSBのWindows10でも動作するだろう、って予想しています。
でもサポートが向き合ってくれるか、というのは先方のココロ一つなのです。ダメだった場合には、やむを得ない、Hyper-VでWindows10 ProかWindows8.1などの環境を用意し、リモートデスクトップ接続にてそのゲストOSに用意したアプリを利用してもらう、って方法で提供するしかないですね。あくまで 回避策ですが、PCのOSを入れ替えるよりは非LTSB(非LTSC)環境を要求するアプリはその環境に閉じ込めてしまえ、という考え方もあります。
さて、どうなるかは、いまのところサポートからの回答待ち、ということで。
追記(後日解決):
後日の話。あっさりと問題は解決しました。
実は原因はユーザ側でインストールに失敗して(ファイル不足状態だっ)た、というオチで、LTSBだから対応しないってことではありませんでした。とりあえず再インストールで解決。
ちなみにサポートの話では「LTSBは動作環境の範囲内ですよ。こちらでも動作しています。」ですって。LTSBがWindows10 Enterprise Sというエディション名をOSが返してくるから誤認識して…云々、ってのは私の早合点だったようです。
疑ってしまって、正直スマンカッタ。