Debian 13 Trixieが2025年8月9日リリースを迎えたので、既存の環境のバージョンアップに備えて、まずはクライアントHyper-V環境にインストールしてみることにしました。
インストールしたところ、気になる動作をしたのでその対処をご報告します。
インストール後にGUIが起動しない
クライアントHyper-VのゲストOSとして、新たにリリースしたDebian 13 Trixieのインストールを実行しました。
インストールが完了した後、再起動後の初回起動でGUIが起動せずにCUIのログインプロンプト(ユーザ名入力を要求)が出てきました。
ん?GUI、確かにインストールしたのですが、どうしたんでしょう。
画像を取り直したので、そのインストールの詳細を解説です。
まずはインストールを進めて、GUI環境は「Cinnamon」を指定してインストールを完了させました。

「Debianデスクトップ環境」の他はCUIでもインストールしている項目なので今回とは関係していません。
しばらくすると、

この画面でインストールが完了します。「<続ける>」を選択してゲストOSを再起動します。
再起動後、

なにやらメッセージが表示されたのですが、OSの起動が進んでいきました。
が、OSの起動が進んだところで、

この画面のように、カーソル点滅でOS起動が止まってしまったような感じになってしまいました。そこで「Alt+F2」などでコンソール画面を切り替えると、CUIのログイン画面が表示されました。
そのあと、「Alt+F1」で画面を戻すと、

このような感じでGUI起動に失敗し、CUI環境で起動したような画面となっていました。
GUI環境が起動しない要因
インストール時にGUI環境をCinnamonで指定しているので、lightdmかgdm3のディスプレイマネージャが動作する必要がありますが、それが問題を起こしているという可能性があります。
ディスプレイマネージャのサービス状態を確認してみたところ、以下のようになりました。

「systemctl status lightdm」の実行結果が要因を示しているようでした。gdmはインストールされていません。
--------------------------------------------------------------
× lightdm.service - Light Display Manager
Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/lightdm.service; enabled; preset: enabled)
Active: failed (Result: exit-code) since
Duration: 20ms
Invocation: e084b91db7864d8999c3d846ead184f3
Docs: man:lightdm(1)
Main PID: 840 (code=exited, status=1/FAILURE)
--------------------------------------------------------------
「Active: failed」となっているのでlightdm.serviceのサービス状態は起動していないと判断できます。
ログで「Active: failed」の要因となる詳細を探ってみます。確認するログは「/var/log/Xorg.0.log」です。

文末のログが「Fatal server error:」となっていましたのでここが要因を示してくれていると思います。
「Cannot run in framebuffer mode. Please specify busIDs for all framebuffer devices」
※フレームバッファモードでは実行できません。すべてのフレームバッファデバイスのバスIDを指定してください。
と、あるのですが、これはXorgがビデオドライバを見つけることができなかったという状況のようです。
対処1:ドライバ(fbdevドライバ)インストール(スキップ可能)
クライアントHyper-V環境で使われるfbdevドライバのインストールを実行してみたところ、
--------------------------------------------------------------
# apt update
(中略)
# apt install xserver-xorg-video-fbdev
xserver-xorg-video-fbdev はすでに最新バージョン (1:0.5.0-2) です。
xserver-xorg-video-fbdev は手動でインストールしたと設定されました。
Summary:
Upgrading: 0, Installing: 0, Removing: 0, Not Upgrading: 0
--------------------------------------------------------------
既にインストールされていたようです。(なので対処法としてはこの手順は不要のようです。)
となると、ドライバが存在しているのに、それを上手く使えていないということのようです。
対処2:ドライバ(fbdevドライバ)設定
fbdevドライバを使うための設定ファイルを用意してみます。
</etc/X11/xorg.conf.d>の存在確認をしたところ、

ディレクトリはあるけど特にファイルは存在していませんでした。
そこで
# vi /etc/X11/xorg.conf.d/10-fbdev.conf
で、設定ファイルを作成します。
内容は、

--------------------------------------------------------------
Section "Device"
Identifier "HyperVFBDev"
Driver "fbdev"
EndSection
--------------------------------------------------------------
これで保存します。
完了後
# systemctl reboot
でOS再起動しました。
GUI起動するようになった
ここまでの対処でGUI起動するようになりました。
「systemctl reboot」の実行後の起動では、

このようにGUI環境のログイン画面が表示されました。つまり</etc/X11/xorg.conf.d/10-fbdev.conf>内にfbdevドライバの指定をすることでGUI環境が起動するようになったようです。Hyper-V環境のDebian GUI デスクトップ環境ではこの処理が最初に必要になるようです。今後もゲストOSでDebianをインストールする時には覚えておきます。