「PC,モバイル等の手配や、誰が何をもっている一覧を関係各位が共有でみれるようにしていただけますようお願いします。」
ある日、メールで突然鬼振りが来ました。
規模の大小に関わらずインフラ管理業務に従事していれば一度はこういった指示が飛んで来た経験がないでしょうか?
管理職や経営者側からすると、システムの担当者にITリソース最適化を任せているからITリソースが可視化できているのは当然、と考えることが多いようです。
また「ITに長けている社員なのだから、もちろんITを駆使して台帳にまとめているよね?」というのは何かを思い立ったときに出てくる常套句です。
ここではどんなツールを使うとかどのツールをどうやって使うか、という内容については(他のブログでもよくある話ですし)あまり記載する気はありません。
(需要があればまた別ですが。)
インベントリ情報と呼ばれる収集情報をどのような局面で使うか、実際にどんな局面で使ったかを書いてみようと思います。
- CPUの型番:
OSの入替やシステム配信をするときに、動作要件を満たすかどうかを判定する(足切り)に使います。レンタルPCを下取りするときに下取り基準としてIntelAMT対応CPUかどうかを調べて下取りPCを一覧表にしましたね。
意外と一般的な性能基準となるクロック数はそれほど気にしません。
どちらかというと付随技術に注目することが多かった印象です。
例えば、Hyper-ThreadingやIntel-VT、64ビット対応CPUかどうか、NXbit対応か、PAE対応か、です。
これらを知るためにインベントリ情報からCPUの型番を収集するととても有用です。
- メモリ:
どれくらい搭載しているか、とどんなメモリを搭載しているか、は概ねインベントリ情報から収集可能です。業務上メモリ増設はよくあると思います。その際にどの規格のメモリを購入しなければならないか、を調べるためには実際にPCを分解(少なくともネジを外して蓋を開ける)必要がありますので、PCの目の前に行かなければ知ることはできないわけです。
インベントリ情報からこの情報が収集できていれば、PCの目の前に行くことなく一覧表示することができる、ということです。
- MACアドレス:
駆け出しのころから「これは管理したくないな…。」と思っていたのですが、やっぱり管理せざるを得なくなった情報です。MACアドレスは、DHCPでIPアドレスと紐づけるために使ったり、無線LANのAPでMACアドレスフィルタ(最近はやらないですかね)に使ったり、
MACアドレスが解るとarpでIP情報が収集出来たり、MACアドレスからNICメーカが分かったりするので、リモート接続するときやデバイス管理に役に立ちましたね。
- ドライバ情報:
ドライバ情報で使うといえば、ドライババージョンですね。メーカーのアップデート情報でブルースクリーン発生源がドライバの特定バージョン、というシチュエーションで該当バージョンが使われているPCを抽出するためにインベントリ情報からドライババージョンを確認するわけですね。
- デバイス情報:
ドライバ情報と多少被る情報ですが、接続されているデバイス情報も管理上必要になることが多いです。
あるアプリを導入(開発)するときに最低解像度はいくつのPCを対象にすればいいか、最近はFullHD化が加速していますけど、安いPCを買っていると1366×768の表示がベースであることも多いです。(さすがに1024×768は少なくなってきているようですが)
社内開発しているのなら、じゃあアプリの表示解像度は800×600くらいにしますか?、いやいやワイドが多いから横はもっと増やしましょう、とか具体的な相談ができます。感覚で打ち合わせするよりはよっぽど有意義です。
- OS情報:
WindowsHomeEditionではActive Directoryドメインに参加できませんが、いざドメインを導入するときにHomeEditionがプレインストールされたPCは何台あるか(PCの台数が多ければ多いほど)正確に把握するのは困難です。
これを把握できるのがインベントリ情報です。
私はWindowsXPリプレイス時にWindows7化(WindowsIntuneを導入する)する対象が何台あるか、試算するのに使いました。
エディションが分かればエディションごとの機能は調べれば分かるので、このPCは標準機能でどこまで使えるかも把握できます。
OS情報とはちょっと外れますが、IEのバージョンコントロールもブラウザで業務アプリを使っている企業では把握しておきたい情報ですね。
IEのバージョンは常に最新を使う、というわけにもいかない企業は多いのでバージョンコントロールのためには日ごろからIEのバージョン情報を収集しておくというのは妥当な業務です。
Windows10リリースが控えている2015年7月現在では、どのPCがどのOSバージョン(7/8/8.1)がインストールされているか把握するのもそうですし、ちょっと前であれば、8か8.1か8.1Updateになっているかを識別するのにも使いますね。
- WindowsUpdate情報:
最近よくWindowsUpdateで不具合が出ていますが、いったん適用されたKBをアンインストールするときにコマンドで自動化までは簡単なのですが、実際にどのPCにコマンドを自動実行させればいいか、というのを調べるには実際にPCを操作しないといけないことになって、結局1台づつ調べてアンインストールするのが確実だ、ということになりがちです。
インベントリ情報があれば、対象のKBをキーワードにして適用対象のPCを抽出できるのでグループポリシーでログオンスクリプトを用意すれば対象PCに一気に配布することができるようになるわけです。
- アプリケーション情報:
インベントリ情報を収集する一番の目的になることが多いのが、ライセンス管理だと思われます。実際にこの手のツールの売り込みはライセンス管理をキーポイントにして売り込みされることが多いですね。
ライセンス管理という大義名分ができてから、インベントリ収集製品を社内に導入する投資が加速しました。
私はついでにインベントリ収集製品で資源配布機能が素敵な製品を導入することに成功しましたが、ユーザによってはセキュリティ管理製品に特化した製品だったり固定資産管理に特化した製品だったりすることでしょう。
ライセンス管理が必要だ、という社内の雰囲気を敏感に感じ取り、PC管理がさらに楽になる製品を導入して業務を効率化しましょう。
- 資産管理情報:
インベントリ情報とはちょっとズレますが、固定資産管理情報としてもインベントリ情報は有用に使えます。
最近はPCの低価格化で該当数も減っているかもしれませんが、以前のPCは10万円を超えることも多く固定資産管理の対象となっていました。
10万円を超えるPCと超えないPCが混在する最近では余計に重要なのかもしれません。
具体的にはWMI情報をもとにPC型番とシリアル番号で個体識別して、会社が割り当てた固定資産番号を紐づけて「固定資産台帳」と組み合わせて管理します。
固定資産は「固定資産の有無」と「資産の設置場所」が重要になります。
インベントリ情報でログイン名と最終更新日とネットワークアドレスを収集していれば、概ね「いつ」「どこに」「誰が」使っているPC(固定資産か)が判明しますので、PCに関しては固定資産管理で一番苦労する棚卸(実地調査)がデータの確認だけで完了できることになるのです。
(地方拠点は実際に現地に行かなくてよいメリットは計り知れませんね。)
インベントリ情報に固定資産番号を紐づけておけば、簿価や減価償却情報を(会計ソフトの)固定資産台帳で管理できていますので、PCについては固定資産管理で苦労する作業がかなり削減できることになります。
どの情報も業務あっての情報収集です。逆に業務がなければきっと情報収集はしなくても支障ありません。
この情報があれば業務が楽になったのに、、、という経験があれば、そんな思い出をインベントリ収集ソリューション導入のときに思い出せるようにしておくと、具体的にこういった業務があった=こう効率化できる、という説得力になります。
ぜひとも鬼振りが来る前の準備、鬼振りが来たときに投資を交渉できるようにする準備をお勧めしますね。