前回までで、無理な注文と知りつつも要望を極力叶えるためにどこで妥協するものか手探り状態のシステム部門。
しかし予想をはるかに超越した答えが総務部長の口から発せられることになった。
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唖然とする時間軸
「配信する文面はどこにありますか?」
という我々の質問に対して、我々の予想をはるかに超越した答えが総務部長の口から発せられることになった。
「文面はこれから考えます。」
な、
なんだと?
静寂がシステム部門の部屋を包み込む。
あまりの答えに隣席のシステム部門社員は既に二度見を完了していた。
文面をこれから考えて、こちらに引き渡すのにどれだけ掛かるというのか。
そもそもだな。
"我々は終電で帰りたい" ウララー
もちろん総務部長にこんなこと言えない。だってオラは小心者だから。
でも小心者じゃないシステム部門社員も居る。先ほど二度見をしていた隣席の社員だ。
「いまから文面を作成して、何分で完了できるんです?
そもそもですよ、システム部門が八時とか九時で全員帰宅していたら、どうしていたんです?たまたま遅くまでいたからって…」
その発言は総務部長にさえぎられることになった。
「じゃあどうすればいいんですか!」
また声を荒げる。だが何度も言っているように、だ。方法は一つなのだ。
それほど緊急性が高いと主張するような内容なのであれば、朝配信なり昼配信なりをするようにスケジュールでセットするから一秒でも早く文面を持ってこいとこの場にいる誰もが思っている、ということに気づいてもらいたい。
何とか気付かせよう。
「とにかく、配信する文面がなきゃ配信はできないんですから、まず配信メールの文面を用意するのが先じゃないですかね。」
総務部長はこの助け舟に気づかなかったらしい。
「ああ、じゃあ今日は配信できない、ってことですか、そうですか。
じゃあ、配信させてもらえなかった、ということです。いいですね。」
激高した総務部長はそう捨て台詞を残して部屋を退出してしまった。
間違っちゃいないが、
そもそも、配信する文面がまだ出来上がっていないんだよね?
深夜の職場は人を狂わせる。
この激高した総務部長の捨て台詞に対し、義憤にかられた隣席のシステム部門社員は廊下に走り出して、去りゆく総務部長に叫んでいた。
「こんな時間じゃ、できることとできないことがあるでしょうが」
――そして次の日
受け取った文面を見て一同は愕然とした。
もう内容は覚えていない。
ただ、
深夜に配信するような重要性も、緊急性もなく、
文面を見た全員が愕然とするほどに、
どうでもいい内容
ということだけは鮮烈に脳裏に焼き付いている。
たしか暑中見舞い的な挨拶メールだったような…。
配信予定の文面を見たあと、あの場に居たシステム部門全員が開口一番こう言っていた。
「これ、どーでもいい。」
重要だ、という基準は人によって違う、ということをこのとき学んだ。