サーバは利用する企業の規模によってガラッと変わってしまいます。
ユーザが増えることで停止が強要される時間やトライ&エラーにかけられる(リプレイス前提で小さく作って成長させる)時間が少ないことがシチュエーションとして考えられるからです。
なので、WindowsServerで100ユーザを超えるような規模感でサーバを用意するとしたら以下のような考え方で基本ベースを作ってから、強化ポイントと削減ポイントを調整します。
- CPUは後から追加が困難なので妥協しない。
でも私自身はRBMS専用のサーバ以外のサーバでCPUは軽視しがちです。Hyper-Vでゲスト複数いてもめったに使い切らないイメージがあります。
でも、企業にサーバを導入するときにCPUは(クラウドでもない限り)妥協せず必要な速度、必要なコア数、場合によっては2CPU/4CPUで用意することも必要です。
- メモリは使いたい機能の総和を情報収集して用意。
OS:4GB+インストールするサービス(製品):マニュアルの動作要件から確認+(利用するユーザ数×1ユーザがサービスを利用して消費するメモリ容量)
- ストレージは速度と容量をバランスよく
OS部分は128GBをRAID1で、データ部分をRAID5/6/10で必要な容量を。インターフェースはSASを選択
※数年前からニアラインSAS(SATA)という価格を抑えたHDDのシリーズが出てきました。高価になりがちなストレージですが用途によっては割安なニアラインSAS(SATA)シリーズを選択するのもよいと思われます。
他には、電源冗長化、NIC冗長化(チーミング)
一方でそれほど大きな規模でない数十ユーザの環境であれば、イニシャルコストを極力抑えて安く済ませる場合もあります。
この場合には極力イニシャルコストを掛けずにサーバを用意することになります。
(私の周囲ではこれを赤貧構成といいます。)
この場合、注視するポイントが変わってきます。
- OS:WindowsServerを買えないのでLinuxで
※Windows Serverはライセンス購入のコストも必要ですがPCからWindowsServerに接続して利用するためのCAL(Client Access License)がPC1台かPC利用者1名につき1ライセンスの購入が必要。このCALコストが高い。
- 筐体:サーバ機が買えないのでパソコンで⇒パソコンも買えないので余った(もう使っていない)パソコンで
※とりあえず起動するPCで用意、故障していないことが条件です。
- CPU:思いっきり妥協して使われているCPUそのまま使います。選択の余地があるのであればCeleronプロセッサのPCを選択しましょう。
※Celeronを選択する理由はざっくり言って静音なことが多いからです。
- メモリ:投資する余力があれば搭載可能な最大容量2GBとか4GBとかを搭載してしまいます。
※古いPCの転用では稼働するサービスから計算するより、どれだけ搭載できるかのほうが気になるところです。
- ストレージ:ここだけは投資しましょう。
同じHDDを2台(できれば3台)用意します。最近出てきたNAS向け製品と位置付けられたHDDを購入し最低限ソフトウェアRAID1(3台目は故障時の復旧用に保管)を構成します。
※NAS向けHDDとは⇒WesternDigital社の製品であれば「WD RED」シリーズ、Seagate社の製品であれば「Seagate NAS HDD」という製品です。
※ギガビットイーサで社内ネットワークが整備されている前提です。
だいたいこんなところになるでしょうか?
ちなみに表題になっている質問をした時の答えは、
「サーバの予算は捻出できない。」でした。
こうして赤貧構成が誕生しました。いい経験です。
いくつか作った赤貧構成を書き出してみました。
- ファイルサーバ1
OS:Debian
CPU:Intel Celeron CPU 2.00GHz
メモリ:1GB
ストレージ:500GB⇒のちに1TB:RAID1へ
NIC:RTL8169sb/8110sb Gigabit Ethernet Adapter
- ファイルサーバ2
OS:Debian
CPU:Intel Celeron CPU 2.80GHz
メモリ:2GB
ストレージ:250GB×2(RAID1)+4TB(RAID10、USB/eSATA)
NIC:Intel(R) PRO/1000 Network Connection
- Hyper-Vサーバ
OS:Microsoft Hyper-V Server 2012 R2
CPU:Intel Core2 Duo L7500
メモリ:8GB
ストレージ:320GB
NIC:Intel 82566MM Gigabit Network Connection
この記事を読んでいる方のサーバ予算は潤沢であることを祈っています。