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treedown’s Report

システム管理者に巻き起こる様々な事象を読者の貴方へ報告するブログです。会社でも家庭でも"システム"に携わるすべての方の共感を目指しています。

ユーザ対応の十戒

体験昔話 ビジネス

ストレスコントロール、ストレス耐性…。
社会人・会社員と来ればストレスと付き合わない環境などほぼ皆無です。
システム部門で働くシステム管理者にとってのユーザ応対はストレスの発生源となる場面にたびたび遭遇することになります。

以前、そんなユーザへの応対で燃え上がった怒りを鎮めるために、自分を説得するのに苦労しました。そのとき、以下の十戒を作成し自分自身を説得することでどうにか怒りを収めた(収めたつもりになった)ことがあります。

今日はその十戒をご報告します。

 ユーザ対応の十戒

  1. ユーザにとっては、システムが重要ではない。業務が重要である(システムの力で業務改善はできない、改善するのは結局ヒト)「重要で」を興味に変えても可
  2. ユーザはIT技術者が何でもできると認識する(説明が重要)
  3. 動かないシステムを非難するが、動いているシステムは称えない(動いて当然)
  4. ユーザは自分の業務の阻害になるシステムを「使えないシステム」と称する(業務の邪魔をするな)
  5. 威丈高なユーザも遜るユーザも同じユーザ(同じユーザには同じ対応を)
  6. ユーザにとって、システムの内容(情報)は無益、システムを利用した業務内容(情報)が有益(つねに要望には「なぜ?この要望なのか」を自問自答し手段の裏にある目的を見抜く)
  7. ユーザに期待をしない、だからユーザに憤らない。慷慨しない、だから前向きに対処できる。(なぜ自分ができないのに人に求めるのか)
  8. 複数のユーザに相対したときは、常に低レベル側に合わせる。低レベルの発想をする。(できるだろう、と思わない。)
  9. ユーザの有益≒会社の有益、システム≠会社の有益、会社の有益=金と右肩上がりの数字(やるべきことは?)
  10.  ________________十戒の最後はあなたの手で完成させてください。

十戒と言いながら、9項目しか思いつかなかったけど「十戒」だから「十の戒め」がないとカッコつきません。

この話はかなり昔の4月、新入社員が入社してきた、とある年度の話。

このとき、何があったかというと

突然電話が鳴ったんです。
ユーザからの電話でした。ユーザは開口一番こういって怒鳴りつけてきました。

「マニュアル通り実行したのにOutlookが設定できないじゃないか!一体全体どうなっているんだ!!使えないシステム用意しやがって!!!」
電話に出た瞬間にこう怒鳴られたらたまったもんではありません。
ユーザは間髪入れずこう続けます。
「すぐにこっちに来い!」
この時点でこっちとしても言いたいことは山ほどあるのですが、グッと飲み込んでユーザの場所へ出向くことにしました。

ユーザの場所に出向くと、何人もの新入社員が研修で利用する自身のメール環境をセットアップするため、マニュアルに沿ってOutlookの設定を実行していました。
マニュアル自体はかなり丁寧に作ってあったので新入社員であっても読解力があれば設定できるようになっていました。(当時は入社して初めてパソコンに触れるような新入社員も多かったものです。)
事実、その部屋のほぼ全員は滞りなく設定ができていたのです。そう、問題の一名を除いては。
その問題の一名は入力しても設定が反映されないといってすごい勢いでキレています。そのキレている新入社員のせいでくだんの電話をよこしたユーザも私を怒鳴りつけてきたようです。
整理しておきますと、キレているのは二人です。

  1. マニュアルを見てもOutlookの設定ができない、と主張する新入社員一名
  2. 新入社員を指導する立場だがキレている新入社員のせいでキレている既存社員一名

の合計二名がキレています。で、私を電話で怒鳴りつけたのはこの既存社員です。

電話で怒鳴りつけてきた既存社員は到着した私を一瞥すると、そのまま他の新入社員との会話を続けました。で、私は別の社員に促されて「問題のキレている新入社員」のところへ連れていかれます。
新入社員は、先輩社員かどうかに関わらず噛みつくタイプのようです。どうやらちょっと問題がある社員らしく、後で聞いた話では問題行動がいくつかあったそうです。とはいえその時点ではその情報を知りませんでしたが。
新入社員は、
「マニュアル通り入力しても、エラーで進めません!なんなんですかこれ。」
むぅ。イライラしているのは伝わってきました。じゃあそのエラーの画面を見ましょうか。
対象ユーザIDは"new-use@hogedom.local"(仮名)というActive Directoryドメインユーザを入力しようとしています。
この場合、マニュアルには"cn=new-use,cn=Users,dc=hogedom,dc=local"と入力するように記載されています。
画面を見ると

"cn=new-use,cn=Users,dc=hogedom,dc=local"

なんかちょいちょいでかいんです。メモ帳にコピペして並べて比較してみましょう。

"cn=new-use,"
"cn=new-use,"

並べると分かりやすいのですが、要するに部分的に全角です。全角のせいでエラーになっています。
"cn"や","(カンマ)が全角になっているせいでエラーになっているだけですよ、と伝えました。

「あぁ、そうですか。」
新入社員は悪びれる様子もなく、再度たどたどしい様子でキーボードを押下して文字を入力し始めました。その入力が…
"cn=new-use,cn=Users,"
と入力し始めました。オイオイオイオイ…。

言ってるじゃないか、"全角じゃない"と。
"再入力で全く同一の入力をしたら、同じ結果になるでしょうに。"

思っている私を尻目に、彼のキーボード操作では全く同じ個所を全角文字で入力し始めました。
このままだと入力後に、やっぱりできないじゃないか!!と激高する可能性が高いです。そう思った私は入力完了前に声を掛け割って入ることにしました。
ちょっといいですか?、と声を掛け、彼のキーボードを引き寄せ入力を代行します。

メモ帳に残された部分的に全角の文字を「Shift+F10」キーでメニューを表示し、「再変換(R)」から表示される変換候補のうち「 [半] 」と表示される文字を、わざわざ指さし確認して選択することで、"半角に変換しているんですよ!"という無言のアピールをしつつ誤った入力文字列を変換していきます。
全部半角に変換し終わった後で、設定値を全部コピー&ペーストし、入力欄に貼り付けます。
さあ!これで設定できましたよ!

促された新入社員はマウスを操作して設定が完了したことを確認し始めました。
確認後に一言、
「できてますね。」
?なんだ?、この"はいはい、よくできました~"感が一杯込められたような上から目線ともとれる「できてますね。」というセリフ。とても違和感を感じますが私が間違っているのでしょうか。
社会人ともなれば、こういうのをスルーする"スルー能力"というのも必要です。いちいち取り合わないという点も会社員たる資質の一つとして問われる、ってなもんです。ここはスルー能力を発揮して、流しておきましょう。
新入社員は、私の感情の動きなどお構いなしに言葉をつづけました。
あとはできますから、もういいですよ。
ぐむむっ…。何という新入社員…。再びスルー能力を使いました。がまんがまん。

ここまでが完了したところで、いつもならユーザの操作のどのあたりでマニュアルとの食い違いがあったのか、という点をユーザに説明する習慣がついているのですが、このときばかりは、そのような正常なやり取りができるほどの余裕はありませんでした。
人間って、感情の生き物、ですよね。このとき実感したものです。

対象のキレている新入社員は満足したようなので、問題のキレている既存社員に報告をしなければなりません。
対象の彼は終わりました、と努めて事務的に報告します。
「あ、そう。終わったんならいいや。」
つい先ほど、私が使ったスルー能力を逆に使われてしまいました。スルー能力返しを食らった気分です。
しかも電話で怒鳴っていた怒りなどどこかに消し飛んでしまったのか、既存社員はむしろ機嫌が直っているようです。
「もう戻っていいよ。」
既存社員は一言だけ私にこう言うと、また他の新入社員との会話に没入し始めました。

なんというスルー能力だ!

こうして私は自席に戻り、自分を説得するためだけに、この「ユーザ対応の十戒」を作成しました。
三国志なら憤死一歩手前なんじゃないかって思います。