前回<ワイヤレストランスミッターWLA-NS7を試す - treedown’s Report>の成功で、過去に質問されたことを思い出したのでご報告です。
Bluetoothオーディオを複数同時出力できないか?という内容です。
疑問:Bluetoothオーディオって複数人で同時に聴けないの?
結構前の話なのですが、こういう質問をされたことがあります。
「PCで動画を再生するときBluetoothワイヤレスイヤホンで音声が聴けるじゃないですか。
その一台のPCで複数のBluetoothワイヤレスイヤホンに対して同じ音声を同時に出力することができないもんですかね?」
うーん。それってマルチペアリングの逆パターンですよね。できないんじゃないかなぁ。
「同時に音声を二系統出力できればいいんですよね。例えばイヤホンジャックとBluetoothワイヤレスイヤホンに同時に音声を出せるとか、HDMIとBluetoothワイヤレスイヤホンを同時に同じ音声を出力できるとか。」
聞いたことないなぁ。
イヤホンスプリッターの一択じゃないですかね。PCのヘッドホンの端子にイヤホンスプリッターを接続して分配したあと、ケーブルタイプのヘッドホンを複数接続する、という感じで。有線タイプしか音声の同時出力はできないと思いますけどね。
と、いうわけでBluetoothワイヤレスイヤホンでの接続では複数のデバイスに対して音声を同時出力はできない(ペアリングした内の一台だけしか音声出力されないから)という制約から、このときは有線接続のスプリッターしか選択肢はないよね、という結論で話は終了しました。
しかし、Bluetooth規格は進化する
Bluetoothはペアリングによる一対一の音声出力しかない、これを常識として頭に入れていたのですが、この常識を覆す技術が開発されていました。
それがBluetoothオーディオの次世代規格で「Bluetooth LE Audio」の機能の一つにある「Auracast」という機能です。
この「Auracast」は、スマートフォンやPCといった送信側のデバイスで再生している音声を、複数の受信側Bluetooth機器(ワイヤレスイヤホンやスピーカなど)に向けてブロードキャスト的なオーディオの配信ができる機能、とされています。
■Auracast|Bluetooth®テクノロジーウェブサイト
https://www.bluetooth.com/ja-jp/auracast/
■Auracast|仕組み
https://www.bluetooth.com/ja-jp/auracast/how-it-works/
機器でBluetooth接続をオーディオを複数の受信機で同時に受けることができる、これは結構革新だなと思いました。どうやら2022年には公表されていた情報らしく、一部の詳しい人から見ると今更な感じに思われるかもしれませんが。
何ができるかというと
元々質問を受けたように、複数の人が一台のPC(やスマートフォン)で再生されている音声を共有して聴くことができる、ということが真っ先に頭に浮かびますが、他にも結構実用化の案が前述の技術サイトには挙げられています。
例えば、公共の場に置かれたテレビの音声は消音されていることがありますが、対応するBluetoothワイヤレスイヤホンを所有している人だけは、公開された「Auracast」の技術で接続することによって音声を聴くことができる、とか。
公共の場での構内放送は「Auracast」でブロードキャストして、聴きたい人だけが「Auracast」対応Bluetoothワイヤレスイヤホンできくことが出来るようになる、とか。
前回<https://blog.treedown.net/entry/2023/08/15/010000>にて設置したワイヤレストランスミッターだと一対一なので、Bluetoothワイヤレスイヤホン一台接続するだけなのですが、(所有している機器は対応していないけど)「Auracast」対応だと仮定するとBluetoothワイヤレスイヤホンとBluetoothスピーカーの両方を接続して二人が自分のBluetoothオーディオ機器で同時に音声を聴くことができることになります。
「Auracast」に置けるBluetoothはWi-FiのAPと子機のような関係性になるみたいです。接続中の子機全体がWi-Fiでは通信可能なように、「Auracast」のBluetooth子機も接続中の全てが同じ通信ができる、という考え方をしたほうがよさそうです。
音楽・音声の出力を共有するという単純なことのようですが、ありそうでなかった新技術ということで、なかなか期待できそうな技術だと思いました。
予定では、2023年くらいから対応機器がリリースされてくる予定、と言われています。(どこかで見た)
まだ実用に入っていない技術なのかもしれませんが、なかなか期待させる技術のような気がします。