残業はそのネガティブなイメージを近年いっそう強めています。
今日は昔話を元にした(一部)フィクションなどを一つ。
それはある日のミーティングから始まりました。
ある日のミーティング
と、ある会議室。
上司と仕事の進捗でミーティングをしているシステム部門の私が居た。
おもむろに口を開く上司。
「この作業、どれくらいで終わるんだ?」
日常業務、定例の会議予定など、作業とスケジュール帳をみて空いている時間帯で作業時間をカレンダーに埋めていくと、ちょっと期間が必要そうに思えた。
「その作業は、二週間程度、といったところですかね。」
日常業務はそれなりに立て込んでいるところに、いくつかある新しい作業を入れるのはなかなかに骨が折れる。
しかしそんなこちらの苦労など意に介さず、
「だめだ、今週中に終わらせろ。」
え?一瞬耳を疑った。
「でもこの作業だけに集中するわけじゃないですから、定時内には他で時間を使ってしまいますよ。その上で新しいことをやるとなるとそれなりに期間は必要ですよ。」
確かに多少不測の事態が発生したとしてもどうにかなるよう余裕(バッファ)を持たせた期間としての二週間という提示ではあったが…。何とか、その期間で話をまとめたいところだった。
いや、まてよ?その前に、”この作業、何やるのか理解していないよね!”頭の中でこんなつぶやきが響いていた。
独自の計算方法
システムに不測の事態とはつきものだ。それを挽回するために対処を実施する場合には、調べるにしろ検証するにしろ時間が必要になる。
起こらなければそれでよい、別のことをやればいいだけなのだから。
何にせよ不測の事態に備えた時間はスケジュールの中に織り込んでおきたい。作業の実行側からすれば当然のバッファだと思っていた。
しかし、その願いは空しくも届かず、上司の独自の理論が始まる。
「なんで18:00で終わる計算なんだよ、お前終電何時だよ。」
少し責めるような口調に代わってきているのを感じる。一日は9:00から始まって18:00に定時が終わる、基本的なことなんだが…どうも違うらしい。
「いちおう24:00に最寄駅にいれば何とかなりますけど…。」
「じゃあ一日に+6時間ってことだろ?五日で30時間あるじゃないか。30時間もあれば終わるだろうよ。」
「え?それって毎日残業して終電で帰るってことですよね?」
「いやいや、毎日やれってことじゃないんだから(失笑)。帰れる日は早く帰れよ。」
嘲笑にも似た笑いを含めながら、無理にでもスケジュールにねじ込もうとする上司。
――うまくかわさなくては。
そう思いながらこの場をどう切り抜けるかアタマを回転させ始めた。
「でも残業代抑制ってことで通達が出てましたよね。残業を部署内で○時間減らす、とかいう…。」
しかし上司は語気を荒げ、
「残業を強制はしてないんだよ。でも今週中にこれは終わらせろ、と言っているんだ。意味は分かるだろう?」
最終的には強い口調で押し切られてしまうことになってしまった。
この場では、やむにやまれず渋々了承するしかないようだった。
じゃあ作業どれくらいで終わるんだ?って最初から聞かないでいただけるかしら?
何をやるのかどれくらい時間が掛かるのか、これを全く把握していない状態で、〆切だけ先に決定するのは勘弁してくだされ。
しかし、話はこんな単純なことではなかった。