treedown’s Report

システム管理者に巻き起こる様々な事象を読者の貴方へ報告するブログです。会社でも家庭でも"システム"に携わるすべての方の共感を目指しています。

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バックアップに使う機器の伝送速度

バックアップはできるだけ早く終わって欲しい、というのはバックアップを粛々と継続するために必要な考え方だと思っています。
今日は、バックアップを発端に、バックアップ取得に関係する各機器の速度を調べたのでご報告。(覚えておいて損はないかなぁと)

家庭用だとそれほどシビアじゃないけど、企業内(特に小規模企業)だとコンシューマ用の機器を利用することも多いので、結構考慮したい内容なんじゃないかなぁと。

発端

バックアップは「バックアップにどれくらい時間が掛かるか」が気になる点の一つです。時間が掛からないとこまめにバックアップを取得するのもそれほど苦になりませんが、時間が掛かってしまうことでバックアップが面倒に感じてしまい、結果としてバックアップを取得する頻度が落ちたり、バックアップを取得しなくなったり、という行動につながります。

バックアップで重要な「どれくらい時間が掛かるのか」は「バックアップに使う記憶装置がどれくらいの速度でデータの読み書きができるか」が重要なポイントになります。

各通信の理論値

ビットからバイトは8ビット=1バイトで計算していますので、÷8にしています。
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ファーストイーサ(100base-T)=100Mbps=12.5MB/s
ギガイーサネット(1000base-T)=1Gbps(1000Mbps)=125MB/s
10ギガイーサネット(10GBASE-T)=10Gbps(10000Mbps)=1250MB/s
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USB2.0=480Mbps=60MB/s
USB3.0=5Gbps(5000Mbps)=625MB/s
SATA2=3Gbps(3000Mbps)=375MB/s
SATA3=6Gbps(6000Mbps)=750MB/s
SAS3=12Gbps(12000Mbps)=1500MB/s(1.5GB/s)
M.2(NVMe)=32Gbps(32000Mbps)=4000MB/s(4GB/s)
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LANケーブルで接続するイーサネットは近年10ギガイーサネットが企業でも採用される箇所が増えてきたこともあり、これからの普及が期待される速度のイーサネットです。これが採用されてくるとiSCSIなどでもより高速な通信が期待できるようになりますね。現状はお値段がお高いので、家の機器を10ギガイーサネットにするにはまだ時期尚早な感じはしますけど。

一方のPC内部の接続規格の速度については…
以前はSASの速さが断トツだったのですが、近年PCIeを使ったM.2接続の新型SSDが積極的に売り出され採用されています。メーカPCを買うとM.2のSSDがシステムドライブに使われていることも多いですね。速いデバイスはその分お値段も断トツですが。
SASはサーバのハードディスクドライブ、M.2は最近のノートPCのシステムドライブ、というイメージがあります。
家庭用には縁のないSAS。ちなみに2017年には次世代SAS-4の規格化が完了するのでさらに速度が向上したSASが徐々に出てくるはずです。

USBだと圧倒的に2.0より3.0の機器が有利。10倍程度の速度差があります。

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白い端子がUSB2.0、青い端子がUSB3.0です。同じように見えて10倍速度が違うのなら、やっぱバックアップにもUSB3.0を使いたいところですね。

ここでは家庭用を想定して、SATAとUSBとネットワークを中心に考えてみます。

SATAのSSDをバックアップ

SATA3のSSDにあるデータをバックアップする場合、NASやバックアップ用のPCにネットワーク経由でデータを送る場合、

SSD]---[SATA3:750MB/s]---[ギガイーサ:125MB/s]---[SATA3:750MB/s]---[HDD

という通り道でデータを読み書きするので、どうしてもネットワーク部分(ギガイーサ)の速度がボトルネックになってしまいます。
これがUSB3.0だと

SSD]---[SATA3:750MB/s]---[USB3.0:625MB/s]---[SATA3:750MB/s]---[HDD

USB-SATAの変換が入るとはいえ、USB3.0の速度はギガイーサ125MB/sの5倍の速度となる625MB/sでデータの読み書きが可能なので、単純計算で5倍の速度でバックアップが完了する計算になります。※実際はHDDの読み書き速度がボトルネックになり、もっと遅くなりますが。

もしM.2(NVMe)をシステムドライブとしたPCでも、バックアップ取得元のSATAの位置がM.2に置き換わるだけと考えることができます。

SSD]---[M.2:4000MB/s]---[USB3.0:625MB/s]---[SATA3:750MB/s]---[HDD

※USB3.1の登場でさらに速度向上が見込めます。(USB 3.1 Gen 2なら10Gbpsの転送速度が可能になるらしい。)

結局、HDDがボトルネックになってしまって、各接続規格の最大速度はでませんけど、HDDに到達するまでの速度を上げておくことは少しでもバックアップを意識せずに完了させるためには考えておいても損はありません。(たぶん)

重要なのは、途中でボトルネックを作らないようにすることです。つまりせっかく高速なM.2 SSDを利用しており、そこからバックアップを取得するに当たって、バックアップ装置に(余っているからという理由で)古いUSB2.0や100Base-Tのファーストイーサネットを使ってしまうとそこがボトルネックになってしまう=途中の経路も最後の装置も高速な装置を使うとよい、ってことですね。