6月10日、Debianのバージョン12 bookwormがリリースしました。
早目にテスト環境はアップグレードを試してみないとなと思いつつ、なかなか時間を確保できない最近です。
6月10日リリース
Debian バージョン12(コードネームbookworm)がリリースし、公式サイトで公開されました。
このリリースで既にLTS入りしているDebian 10 Busterは二世代前のバージョンとなり、来年2024年6月にサポート切れとなります。
一つ前のバージョンとなったDebian 11 Bullseyeは旧安定版(oldstable)となります。
※参考:Debian Long Term Support
https://wiki.debian.org/LTS
調べておく
アップグレード作業に備えて、ある程度学んでおく必要がありそう、ということで、Debian12 bookwormの知識を調べておくことにしました。
公式のドキュメントを読んでみることにします。
■Debian GNU/Linux インストールガイド
https://www.debian.org/releases/bookworm/amd64/index.ja.html
クリーンインストールしたい場合には、インストールガイドを読んでおくと役に立ちます。
■Debian 12 (bookworm) リリースノート (64 ビット PC 用)
https://www.debian.org/releases/bookworm/amd64/release-notes/index.ja.html
アップグレードの場合には、リリースノートを読んでおくと役に立つ知識を得ることができます。
上記URLは64ビットPC(amd64)のドキュメントURLですが、ハードウェアのアーキテクチャ毎にドキュメントが用意されています。
アップグレードで特に気にしたい情報
上記リリースノートのなかに、アップグレード作業において注意しておくポイントをまとめたページがあります。
■第5章 bookworm で注意すべき点
https://www.debian.org/releases/bookworm/amd64/release-notes/ch-information.ja.html
自分の作業に関係ありそうな部分をこれ以降でメモしておきます。
aptのsources-listの記述が一部変更
いままでnon-freeで適用していたパッケージのうち、non-freeにあったファームウェアパッケージは「non-free-firmware」に分割されたらしい。
このため、以前non-freeで適用できていたファームウェアパッケージでも、bookwormからはnon-free-firmwareを指定しないと適用できなくなる模様。ファームウェアパッケージを利用している場合には気にしておきたい変更点になります。
例えば、以前に、
DebianでThinkPad T61の内蔵Wi-Fiを認識させる - treedown’s Report
これで実施した、Intel製のWiFiを認識させるためにnon-freeをsources-listに追加していましたが、WiFiアダプタの認識は「Non-free firmware」とか「firmware-iwlwifi package.」という記述があることから、おそらくはnon-free-firmwareになると思われます。
システムクロック用パッケージ(のデフォルト)とNTP
ntpパッケージはntpsecに置き換えられた、と記載があります。
ただ、ntpsecに移行について、ほとんどのユーザは何もしなくていい、という記述も見て取れます。既存のntpパッケージを利用中のユーザはあまり気にしなくてもいい(良きようにやってくれる)と言うことなのかなと思いました。
ただ、systemctlで指定する文字列が変わるとかいうことはあるかもしれないからntpからntpsecへ置き換えられた、ということは覚えておこうと思います。
ちなみにntpパッケージはわざわざ導入しないとシステム内にはインストールされないため、
systemd-timesyncdで時刻合わせを設定する - treedown’s Report
でやったように、systemd-timesyncdの知識があれば、NTPクライアントとして時刻を正確に保つ、というところは問題なくできそう。
fcitxのインストールについて
fcitxがこれまで一つのOS上に複数バージョンを導入できていたのですが、これは1つのOSで1つのfcitxに改められたようです。
複数のfcitxがインストールされていた過去バージョンからアップグレードする時には、どちらのバージョンを残すかを決定しないといけないらしい。dist-upgrade前に使用するfcitxバージョン以外のfcitxは削除して置いたほうがよさそう。
VLCでハードウェアアクセラレーションが有効にならないケース
デスクトップとして使っているDebianでVLCを使っている場合、ハードウェアアクセラレーションが有効化されたビデオエンコード&デコードがサポートされているはずなのですが、一部の動作条件によってハードウェアアクセラレーションが使われずにCPUで処理され負荷が高くなるケースがあるようです。
VA-APIサポートを使ってハードウェアアクセラレーションが有効化された環境がこの影響を受けるように読み取れます。VDPAUを使っているほうには影響しないよう。
廃止パッケージと非推奨パッケージをチェックしておく
直接使っていないパッケージでしたが、記載されている廃止されたパッケージと、bookwormで非推奨となったパッケージはチェックしておこうと思います。
気になる記述としては、RAID関係でdmraidが次期バージョンで廃止になるという記述です。ただmdadmは使っているけど、dmraidは使っていないのでそこまで影響はないけど。
これに続いて「既知の重大なバグ」という記述も必要に応じてチェックしていこうと思います。