treedown’s Report

システム管理者に巻き起こる様々な事象を読者の貴方へ報告するブログです。会社でも家庭でも"システム"に携わるすべての方の共感を目指しています。

※https化しました。その影響でしばらくリンク切れなどがあるかもしれませんが徐々に修正していきます。 リンク切れなどのお気づきの点がございましたらコメントなどでご指摘いただけますと助かります。

テスト環境でDebian11⇒12アップグレードの確認・テスト

Debian 12 bookwormのリリースからしばらく経過。時間がなくて試せてなかったのですが、bookwormへのアップグレードをテスト環境で実施してみたのでご報告です。

環境

環境はHyper-Vでテスト環境として構成しているDebian GNU/Linux 11 bullseyeを使いました。
サーバ用途はGUIなしですが、今回はテスト環境としてMATEを使っている環境です。

上図は作業前にバージョンを確認した図、です。

前準備

公式のドキュメントを確認して、注意点を把握しておくようにします。

■Debian 11 (bullseye) からのアップグレード
https://www.debian.org/releases/stable/i386/release-notes/ch-upgrading.ja.html#record-session

まずは、恒例の

 $ sudo apt update
 $ sudo apt upgrade
 $ sudo apt autoremove
※「sudo apt autoremove」は必要に応じて実施

既存のbullseye環境を最新に更新しておきます。

実施後"sudo apt --purge autoremove"で、不要なパッケージの除去を実施しておきます。

今回は特にそういったパッケージはありませんでした。

ファイル「/etc/apt/sources.list」をbookwormへ

恒例の/etc/apt/sources.listの編集です。今回は既存のbullseyeをbookwormに置き換えました。

$ sudo vi /etc/apt/sources.list

でファイルを編集、viの中で、

:%s/bullseye/bookworm/g

を実行すると、"bullseye"の箇所は"bookworm"に置換できます。

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$ cat /etc/apt/sources.list
#
#

deb http://deb.debian.org/debian/ bookworm main
deb-src http://deb.debian.org/debian/ bookworm main

deb http://security.debian.org/debian-security bookworm-security main
deb-src http://security.debian.org/debian-security bookworm-security main

# bookworm-updates, to get updates before a point release is made;
# see https://www.debian.org/doc/manuals/debian-reference/ch02.en.html#_updates_and_backports
deb http://deb.debian.org/debian/ bookworm-updates main
deb-src http://deb.debian.org/debian/ bookworm-updates main

# This system was installed using small removable media
# (e.g. netinst, live or single CD). The matching "deb cdrom"
# entries were disabled at the end of the installation process.
# For information about how to configure apt package sources,
# see the sources.list(5) manual.
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一部コメント行の中に記述が古いものがありますが、sources.listとして必要な箇所は全てbookwormへ書き換えています。

前回<https://blog.treedown.net/entry/2021/09/28/010000>のように、netinstでインストールしたDebian bookworm環境のsources.listと比べて見ました。

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$ cat /etc/apt/sources.list
#deb cdrom:[Debian GNU/Linux 12.0.0 _Bookworm_ - Official amd64 NETINST with firmware 20230610-10:21]/ bookworm main non-free-firmware

deb http://deb.debian.org/debian/ bookworm main non-free-firmware
deb-src http://deb.debian.org/debian/ bookworm main non-free-firmware

deb http://security.debian.org/debian-security bookworm-security main non-free-firmware
deb-src http://security.debian.org/debian-security bookworm-security main non-free-firmware

# bookworm-updates, to get updates before a point release is made;
# see https://www.debian.org/doc/manuals/debian-reference/ch02.en.html#_updates_and_backports
deb http://deb.debian.org/debian/ bookworm-updates main non-free-firmware
deb-src http://deb.debian.org/debian/ bookworm-updates main non-free-firmware

# This system was installed using small removable media
# (e.g. netinst, live or single CD). The matching "deb cdrom"
# entries were disabled at the end of the installation process.
# For information about how to configure apt package sources,
# see the sources.list(5) manual.

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記述に"non-free-firmware"が追加されているのがわかります。これは従来"non-free"リポジトリで提供されていたパッケージがDebian12からは"non-free"と"non-free-firmware"に分割されたことによる変更です。
以前<Debian 12 bookworm リリース~調べてみた - treedown’s Report>に調べてありましたが、標準で"non-free-firmware"を指定するようになった、ということです。これで<DebianでThinkPad T61の内蔵Wi-Fiを認識させる - treedown’s Report>このときのように、手動でWi-Fi関係の導入を仕掛けなくても導入できるようになったということのようです。

ただ、手持ちの環境のうち、テスト環境やサーバ環境では"non-free"自体をリポジトリとして指定していない環境もあって、この場合には"main"リポジトリだけが有効化できていればいいかと判断しました。今回のsources.listは"non-free-firmware"なしの"main"リポジトリだけでアップグレードを実行してみることにします。(テスト環境なので)。環境によっては"non-free-firmware"をつけましょう。

アップグレード実行

ファイルsources.listの編集が完了したので、アップグレードの実行に入ります。

今回もdist-upgradeでなく、前回と同じ手順です。

まずは

 $ sudo apt update

を実行します。

bookwormベースのアップグレードパッケージへの更新を実施します。コマンドは、

 $ sudo apt upgrade --without-new-pkgs

で実行

既存のパッケージのアップグレードが進行します。(インストール済の全パッケージが対象なので時間が掛かります。)

導入済パッケージによっては途中で画面上にサービス再起動などの問いかけが出てくることもあります。その場合には適切に選択肢を選びます。

こうして、既存パッケージののアップグレードが完了しました。

最後にシステム全体のアップグレードであるコマンドを実行します。

 $ sudo apt full-upgrade

を実行します。

これも環境によっては「Package configuration」画面が表示されることがあります。今回のテスト環境では表示されませんでしたが、環境依存です。

特にエラーもなく完了しました。

最後に

 $ sudo systemctl reboot

を実行して再起動。

再起動後

アップグレードが正常に完了していれば、再起動後に起動してくるのはDebian bookwormです。

確認すると、

「cat /etc/debian_version」でバージョン12、
「cat /etc/os-release」でDebian bookwormへのアップグレードが完了したことが分かります。

また再起動後に「sudo apt update && sudo apt upgrade」で

このように不要なパッケージがリストアップされます。メッセージにあるように、

 $ sudo apt autoremove

にて不要なパッケージを削除しておきます。

本番環境にも徐々に適用していくことにします。