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treedown’s Report

システム管理者に巻き起こる様々な事象を読者の貴方へ報告するブログです。会社でも家庭でも"システム"に携わるすべての方の共感を目指しています。

(2/2)名物(?)総務部長の罠

smallNovel 体験昔話

前日から始まった作業が続く…時刻は土曜16:00。

予想以上に過酷な週末に突入した週末作業は、土曜夕方に突入。
そんな中、総務部の扉をくぐり、部屋に入ったとたん、驚愕の光景が私の眼に飛び込んできた。

前日の夜の話:

blog.treedown.net

驚愕の光景

そ…総務部長が…。


居眠りしとる…。

 

部外者の私が、既に30時間以上も一睡もせずに固定資産棚卸作業からのデータ作成作業を実行している、というこの状況の中で、
約束を反故にされてウンザリしているB君の自席の二つ向こうの管理職席で、

昨日しっかりと帰宅してぐっすりとあったかい布団で眠った総務部長が、だ

腕組みをして、さながら仏像のように体はまったく動くことなく椅子にまっすぐ座った総務部長は、口を半開きにして、居眠りの真っ最中だった。

B君…。あれは…。

「ああ、いつものことですよ。よくフリーズしてますよ。それよりデータ出来たんですか?」

あ、ああ。データができたからいま送信したんだけど…。
あれ、いいの?

「いいですよ。そっとしといてください。いまのうちにデータ送って帰宅してしまいましょう。」

Good!
いいじゃないか、B君。その作戦いいね。

そしてB君がデータを送信して総務Aさんに一言告げると、帰ろうと身支度を整え始めた。

やっと解放される。
一睡もしていない二人には安堵の時が訪れた。

だが、その安堵も一瞬だった。
疲れで正常な判断力を奪われているAさんが、あろうことか総務部長に話しかけてしまった。
「データできましたよ。これで完了ですね。」
話しかけられた総務部長は、ハッとなり目を覚ます。

「できた…。できたんですかね?データが。」

はっきり言って夢と現実の区別がついていないようにも見えるその表情で、まるで私は寝ていませんよとごまかすようにAさんとの会話を続けようと言葉をつなげる。

「出来たのなら、早速確認にいかなきゃな。あ、あれだよ。廃棄待ちのパソコンの確認することになっていたでしょう?

部外者には何のことだかさっぱり分からなかったが、B君には思い当たるところがあるようだ。
寝ているうちに脱出しようと試みていたB君は再び総務部長に呼び止められ、
「B君、廃棄パソコンがある場所はどこなの?」
目論見が外れたB君は再び固定資産の渦に巻き込まれていくことになった。
あまりにB君に同情してしまった私は、やむを得ず廃棄パソコンの処理場に同行することにした。

廃棄パソコンが格納された倉庫はさながら墓標のように倉庫内に佇んでいた。
電源が入らなくなったパソコン、他のパソコンに部品取りされて使えなくなったパソコン、HDDが壊れただけで廃棄待ちになっているパソコン、スペックが足りなくなってもはや誰にも割り当てられなくなったパソコン、理由は様々だがどれもここに佇んでいる理由はただ一つ。
廃棄業者の引き取りを待つ、ただその目的のためだけにここに存在していた。

「パソコンなんだから、システム部門も関係あるでしょ~。」

能天気にな口調で総務部長はあたかも私を関係者に仕立て上げたいようだが、このパソコン、どれもこれもシステム部門とは関係ない別部署の管轄のパソコンであり、全く縁がない。どのパソコンが何なのか実を申せばさっぱりわからない状況だった。

「さて、このパソコンが廃棄リストと合致するか、確認していただかないと家には帰せませんよ~。早速番号を確認してくださ~い。」

楽しそうに総務部長はこういうと、自分も張り切って番号を確認し始めた。
積みあがっているパソコンは床に降ろして、貼り付けられている番号が見えるようにしないといけない。これは結構重労働だな、汗が額から流れ落ちるのを感じていた。
そのうち、

「あ~、年のせいか、もう腰が…。」

総務部長のギブアップの声が辺りにこだました。

ゲッ!! ぶ、部長。

まだ、三分の一も確認してませんぞ。
総務部長は飽きてしまったのか本当に疲れてしまったのか、ギブアップを宣言したのち、"あとは若い者に…"とばかし、その辺に呆然と立ち尽くすようになってしまった。

これは。
我々二人で終わらせるしかないのか…。

B君と私は立ち尽くす総務部長を尻目に、黙々とパソコンの番号を確認してはチェックリストに印をつけていくのだった。

こうして、最後の仕事が終わった。

ゴキゲン、総務部長

「いやぁ~終わった終わった、パソコンは重いよねぇ~。」

達成感に満たされた総務部長は私とB君を連れて休憩所に入ると、自動販売機に小銭を突っ込んで、栄養ドリンクを買い始めた。

「B君、君たちも飲みなよ。」

勢いよく栄養ドリンクのボタンを押し三本のドリンクを取り出し口から出すと、一人一本の栄養ドリンクを配り始めた。

「ヤキニクがずいぶん安く済んじゃったもんだね…。」
誰にも聞こえないようにつぶやくも、ただくたびれもうけの週末を過ごした二人には脱力感しか残されていなかった。

我々二人は栄養ドリンクを勢いよく飲み干す。

B君は疲れ切った様子で、
「私たちは寝ていませんから、これで帰りますね。あとは、Aさんと経理部のD係長でできますから。」
B君は申し訳なさそうにこうも付け加えた。
「AさんとD係長は午前中にしっかり睡眠取っていますから、今日も動けますよ。」

総務部長はさすがに「一睡もしていない」というセリフに響いたのか、帰宅を快く了承した。

帰り道

B君との帰り道に電話が鳴る。着信画面にはあの総務部長の番号が。
B君はしぶしぶ電話を取ると、聞かれた質問に事務的に答えた。
「今の…大丈夫だった?」
恐る恐るB君に質問する。今から戻って来い、と言われても、心はもう帰宅気分、早く家に帰って寝たい状況だ。
B君は突き放したように
「いや、もういいですよ。戻りませんし、戻る気もないですから。だって必要十分やり切ったじゃないですか。」

そう、だよね。あとは平社員じゃなくんてエライ人に任せよう。

帰り道、別方向の電車に乗ったB君が再び召還されないよう祈りながら、帰宅の途に就いた。