ルーティン業務(ルーチン業務ともいう)ってやらなきゃいけないことという意識はあるのですが、いま一つ何に貢献しているかという点がぼんやりしがちではないでしょうか?
漫然とやっているとルーティン業務だけで終わってしまう日もあるほどの業務です。
システム管理者にとっての代表的なルーティン業務にユーザサポートがあります。
システム部門にとってのルーティン業務であるユーザサポートはユーザによってどんな存在価値があるのでしょうか?ちょっと考えてみましたのでご報告します。
ルーティン業務の存在価値三選
早速ですが三選です。
1. ユーザの手間なく、使える状態にしてくれる「カスタマー」
2. ユーザに知識がなくても、聞けば解決。「コーチャー」
3. インフラの利用状態の人的可視化「スカウター」
項番(3)だけ間接的な価値ではありますが、総じてユーザが安心してITを使った業務に取り組むことができる応対ができるか、という点を考慮しています。
各々を深堀してみます。
ユーザの手間なく、使える状態にしてくれる「カスタマー」
いうまでもなく、ユーザは自分のできない・やりたくないテクノロジのことを代わりにやってくれるシステム部門には一定の評価をしてくれます。(評価してくれるはずです。一部の不幸な方を除けば)
それはめんどくさいから任せておく、という人間的なロジックかもしれませんし、餅は餅屋、専門家であるプロに任せる、という単純なロジックかもしれませんが、とにかく自分の業務以外で手を掛けたくないユーザが自分の業務で使う道具を手入れしてくれるカスタマエンジニアは頼れる存在になりえます。
家のPCを買ってきた場合、OSこそ工場出荷状態でインストールが済んでいるケースがほとんどですが、それでも自分で使うアプリケーションは自分でインストールしなければいけませんし、昨今ではセキュリティのリスクを理解して自分に最適な投資額のセキュリティ対策は自分で用意しなければなりません。PC以外でもNASなどのファイルサーバを使うのであれば、自分でHDD組み込み、共有フォルダ作成やアクセス権設定など自分でコツコツ設定作業を実行する必要があります。会社のシステム管理者が使える状態にするまでの作業をすべて代行して「使えるようになりました、メール」が送られてくるとすぐに使い始められる、というのは自分の家PCをあれこれ設定する手間と比較してユーザは価値を感じてしかるべきなところです。
家のPCであれば「使えないけどまあいいか」で済む話も多いのですが、業務に使う道具という意味での会社のPCは使えないけどまあいいか、で済まない問題もいくつか存在します。そんなときに颯爽と問題を解決してくれるカスタマエンジニアの存在はユーザが価値を実感しているかどうかはさておいても組織に価値ある存在として評価されるべきです。
まれに独裁者となっているシステム管理者はこの「ユーザの手間なく」の部分が抜け落ちているケースも散見されます。ユーザに本来やらなくてよい動作・操作を実施させてしまうケースです。ユーザは面従腹背、信頼関係はないんだろうなぁ…と、思います。
今回の表題である「社内ユーザサポートの存在価値」のなかで一番わかりやすくかつ直接的な存在価値がこの「カスタマー」ロールです。
ユーザに知識がなくても、聞けば解決。「コーチャー」
ユーザがPCやシステムのノウハウを持っていないのは珍しいことではありません。ノウハウを持っていないからこそシステム管理者がPCやシステムに関する役に立つTIPSをユーザに提供することで「ユーザが学ばなくてもシステム管理者に聞けば解決する、ないし解説が聞ける」という状態であれば、ユーザは「困った時にここに聞けばなんとかしてくれる」という安心感で業務にITを使うことができます。この安心感はユーザにとってはあるとないとで大違いになることもあります。
これが、近寄りがたいシステム管理者だった場合、聞くことができないのでユーザは聞けば数分で終わるようなことを延々数時間調べて時間を浪費してしまったりするものです。ユーザが頼りにして質問してくる内容に答えるということは組織の中で数時間の人件費を削減し別の成果に割り振る手助けをしているという考え方ができます。それは一つの価値ですね。
また近寄りがたいシステム管理者だった場合には、精神的にエラーが起きたらどうしよう、システムが停止したらあの管理者に対処依頼しなきゃいけない、という不安感で日々ITを使うことになってしまいます。
ある日起きたら水道から水が出なかったらどうしよう…と考えて生活している人が居ないように、もしこんなことを考えなきゃいけない状況なんだとしたら毎日不安で生活がままならないと思います。社内ITのユーザも同じことで、ある日出社して来たらPCが一切使えなくなっていたらどうしよう…と考えているITのユーザは居ないということですね。こういうことを考え始めたらユーザは極力便利な技術に依存せず、手間が掛かっても確実な方法を採るようになります。
つまり、ユーザフレンドリーといいますかユーザと対話しやすいシステム管理者である、ということは組織の括りでみると大切なことである、という一面があります。エンジニアはユーザと馴れ合わない、といった崇高な方も世の中には居らっしゃいますが、ユーザとうまくやっておくというのはいろいろな価値をもたらすということは頭に置いておいて損はありません。
でもだからといって何も難しい知識をユーザに長々披露する必要はありません。ユーザは自分の身近なITに関わるTIPSがシステム管理者から聞ければそれで満足です。例えばいつも自分が操作しているエクスプローラの起動が「Windowsキー+E」というショートカットキーで一発起動できる、とか一日に何十回も起動するアプリケーションはタスクバーにピン止めしておいて「Windowsキー+数字」で一発起動できる、とかそういう「知ってるとちょっと便利」程度のささやかなTIPSでもユーザはありがたがってくれることは多いです。
ユーザに定着した非効率な慣習だったり、間違ったセキュリティ認識なんかを草の根的活動で変えていく、という場合にはこの「コーチャー」ロールが重要になってきます。
長くなったので続きます。