「プー。」
無機質な電話の着信音が辺りに響く。
時間は既に定時後、帰宅する社員もちらほら出てくる時間帯にその電話は鳴っていた。
鳴っていたのは会社の内線だった。私はいつも通り自然とその内線電話の受話器を上げ耳に当てる。
電話の向こう側からは予定外の声が聞こえてきた。
その声は我が運用チームのチームリーダーだ。
「オイ、いま下の階にいるんだけど、ちょっと来いよ。」
え?いきなり…?何かあったんですかね?
不安に駆られて思わず質問をする私。
そんな不安の質問は一言で斬り捨てられることになる。
「いいから、来いよ。」
ただならぬ雰囲気を感じた私は呼び出された下の階にある指定の部屋に行くことにした。気持ち急いで。
下の階では
その部屋に到着した時、既に私より年下のチームメンバーが一人とチームリーダーの計二名が立っていた。
本来その部屋で作業している部署の人間は居ないようで、本来の部署の人間は無人、運用チームの二名だけが部屋に居るという状況だった。
苦虫を噛み潰したような渋い表情のチームリーダーに対して、チームメンバーはちょっとワクワクした様子すら出しており、チームリーダーとは対照的に見受けられる。
一体何があったんでしょうか?、と聞いてみることにしようと、私は意を決し声を発した。
「いいんだ。細かいことは。」
チームリーダーは言葉少なに、何があったかの説明を求める私の発言をさえぎり、言葉少なにこういうと、次の指示をその場に居た二人に伝える。
「この部署のパソコンは3チームで12台使っているだろう?」
チームリーダーは何かを確認したいようだった、確かにこの部署ではチーム別にAチーム6台、隣のBチームは3台、残るCチームも3台の計12台が利用されている。
特に問題はなさそうだった。素直に認識に誤りがないことに同意する。
「IPは…、静的に割り振っていたよな?」
"ん?そう…ですね。"
なんの確認だか分からないのだが、IPは確かにPC別に静的に割り振っている。要するにパソコンのコントロールパネルで、NICのプロパティからTCP/IPのプロパティを開いて、IPアドレスを入力している。ユーザはそのことは知らないからIPが変わるかどうかなんて分からないし、知らなくてもPCは利用できる。
チームリーダーは意を決したように、
「ここのCチームの3台を、全部回収しろよ。」
?
このCチームは別に退職もいないし今現在メールや社内システムなども使っているユーザが存在している。そのためのPCなのだが、それを没収ということだろうか?
少し意味が分からなかった私は、その意図が知りたかった。ユーザになんの断りもなくPCを没収、などということがまかり通るものだろうか?
ないし、それがユーザから問題視されることはないだろうか?
不安がよぎった。
そんなことしてしまって、問題になりませんか?何があったか…
そんな発言を思わずしてしまった私は、チームリーダーの怒りに火を付けてしまいそうになる。
ちょっと不快そうな表情を見せたチームリーダーは私の方に向き直ると改めて質問を投げかけてきた。
「それじゃあ、聞くが、仕事中にエロサイトを閲覧しているのは、いいのか?」
?エロサイト?