treedown’s Report

システム管理者に巻き起こる様々な事象を読者の貴方へ報告するブログです。会社でも家庭でも"システム"に携わるすべての方の共感を目指しています。

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なんとなく評価できない部下の正体

本日はシステム部門所属上司の方へのご報告です。

なんとなく、評価できない部下、っていませんか?
上手く表現できないけどユーザ部門とのやり取りが上手くいかない部下、システム部門に居ませんか?

これは一つの考え方が部下に抜けていることが一因だと思われます。

ズバリ、業務視点です。
PC、サーバ、ネットワーク、システム部門のすべての管理対象となるリソースは業務に利用されてナンボの道具です。
この道具がユーザ部門の業務に最大限有効活用されるためにシステム部門は日々汗を流していることと思います。
この「業務に使われる道具」という前提が意外と抜けていることが多いです。

システム部門の部下は技術の習得に日々研鑽しているはずです。システム部門の部員は技術を高め知識を修めることが第一の行動指標になっていることが多いからです。
だから会話も技術の説明によりがちです。
ここに落とし穴が一つあります。

ユーザ部門はITという道具を使って自分の業務を遂行することが主業務です。
なので、ITの中身について知る必要はなくて、どう使えば業務が完了するか、に興味が集中します。
技術はコミットする一要素なので重要ではありますが、ブラックボックス化されていて差支えないのです。

ここにすれ違いが起こりえる要素が紛れています。

例えばトラブルシューティングした結果、別の不具合が出てきた。このとき技術側視点ではこう言うことが多いです。
「Aのエラーは解消できました。その代りBというエラーが出てくることになってしまいました。AのエラーはBのエラーを我慢しなければ解消できません。どちらがいいですか?」
ユーザは「エラーを解消して欲しい。」という要望を挙げてトラブルシューティングを依頼しますが、エラーの解消が目的ではなく「業務遂行の道具が業務遂行を阻害しないよう直して欲しい。」と、いう目的で依頼をしています。
つまり、上記の説明であれば、
「Aのエラーは解消できたので、○○の業務については問題なく実施できます。ただしその副作用で△△の業務を実施する際に不具合が出る可能性があります。△△の業務は他で代替可能ですか?」
と言い換えることができます。これなら△△の業務が代替可能かどうかをYes/Noでユーザは回答できればよいことになります。

同じ2択ですがユーザ側の選択肢としては選択の難易度が全然違います。

これが指すところは「会話をする中心(主役)が業務かどうか。」に尽きます。
つまり、業務主体でユーザと会話ができるシステム部員は優秀に動けます。業務に益をもたらす道具としてのITはどうあるべきかが分かっているからです。業務内容がユーザサポートでも、ステップアップしてインフラエンジニアやプログラマ、アーキテクトになったとしても「今作っているITを業務で実際に使う」ことを考えて業務を遂行できるからです。
ところが技術主体で業務視点が抜け落ちた部員は、技術・知識は詳しいけど成果が今一つになりがちです。これは業務にすり合わせて技術を生かすのではなく、いかにすごい技術で実現するか、が技術主体の部員の価値だからです。上司から見てこれでは業務内容は限定せざるを得ません。

ちょっと誤解が生まれるので、結論の前に定義しておきましょう。
システム部門に所属する部員にとって技術はコアコンピタンスといえます。技術は業務遂行に必要となる最重要項目であり、最重要能力値です。
ただし、能力として技術を研鑽することは、視点や考え方まで技術に染まりきることを意味するものではありません。
すべては技術力を前提としますが、
ユーザを応対する時の視点や言葉の選び方は業務に寄り添うことが必要だと認識している部員を「優秀なシステム部員」として定義しようとしています。
加えて技術はあくまで道具であり重要なのは業務であることを認識しておくことが「優秀なシステム部員」であると定義しようとしています。

この技術対業務の視点は、いつでも直すことができます。つまり、業務を主眼にした考え方や話し方をすればいいだけだからです。
ただし、会社内の業務について知見があるかどうかはまた別問題ですので、会社内の業務は部員一人一人が知る必要があるでしょう。

新しく入ったメンバーを指導する機会があれば、上記の業務視点を入れるよう指導する、技術に詳しいが伸び悩んでいるミドルに対して業務視点を入れるよう人材育成計画を立てる、いかがでしょうか?

システム部門は機械相手と見せかけて実は人を相手にする職業です。
なんとなく、評価できない、ユーザから評価が低い、という部下がいたら、上記の視点で観察してみてはいかがでしょうか?