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treedown’s Report

システム管理者に巻き起こる様々な事象を読者の貴方へ報告するブログです。会社でも家庭でも"システム"に携わるすべての方の共感を目指しています。

昇進で上司から言われた言葉(前編)

時はある年の春先。
春は昇進や異動の季節。その年、今までになかった一つの知らせが私に届いた。

知らせ

きっかけは、上司である課長からの呼び出し。
人払いをしたかったようだが叶わない場所だったこともあり、人気が少ない打合せ場所に移動するように促された。

課長は大きく息を吸うと意を決したようにこう切り出した。
「こんどの人事でキミは主任に昇格することに決まったよ。」
課の中では役職者はこの課長だけという部署内で昇格人事が決まったらしい。
私は選ばれたことにやや興奮するもその様子は気取られないように、冷静に努めた。
「私が?ですか?それはまたどうしてです?」
何年も昇格の人事がなかった部署内で突然降って湧いたような昇格。
ひとまず組織の考えていることを知っておきたかったことから、私は自然とそう質問を投げかけていた。
そんな私の心持ちを知ってか知らずか、課長の答えは拍子抜けするモノだった。
「知らん。部長が決めたんだ。」
一言、そういうと、課長はあまりこの会話を続けたくないようだった。
何か解せないところがあったのもそうだが、この課長、私をそれほど評価していたとはあまり思えない。
結局そのうえの部長が決めてきて、課長に決定したことだけを下達しただけらしい。
だが、課長の口からでた次の言葉は私の想像を超えるセリフだった。

「俺はキミが主任、ということを認めていない。」

う、なんだろう、チャレンジングに思えるセリフに、この複雑な感情が満ちた心の揺らぎは。
課長は続けた。
「我が課、では、優劣はないと思っている。メンバー誰もが優れており、メンバー誰もが足りないところを抱えている。
その中で、だ。一人だけ昇格する、ということに対して、私は正直今でも反対だ。
だから私は言ってやったんだ。他に居る五人のうち、あと三人は同時に昇格するように、と。つまりキミが主任になるのなら、あと三人も主任にするように、と要求した。」

ここで課長は一息つくと、首をかしげながらウンザリした表情を作る。そして言葉をつづける。
「予算の関係でそんな人数を昇格させることはできない、と。部長はこういうんだ。何とも変な話だよ。昇格するかどうか、ということが"その人間が適格かどうか"という基準じゃない、そうは思わないか?」

…。

あのぉ。

「完全に言う相手間違えていますけど。」

しまった。声に出てた。

複雑な表情をそのままに課長は座っていた椅子から立ち上がり、
「まあ、決まったことだから。」

その、"決まったことだから"は絶対自分を納得させようとしているセリフだと確信を持ちながら、なんともモヤモヤした感情を残して初めての昇進の内示を受けることになった。

納得する?

直属の上司である課長は昇進に否定的。しかもその告知を受けた場で真っ向からそのネガティブな感情をストレートにブツけられるという、交通事故にも似た昇進の内示。

当然、受け取った側としては何が何だか分からない。
これは原因の張本人となる部長に聞くしかあるまい。
と、いうことで機会をうかがって部長に聞くことにした。

部長としては
「今、ウチの部が主導して全社で取り組んでいるプロジェクトに協力的だからね。今後もいろいろとやってもらいたいことがあるので対外的にも役職があった方がいい。」

一番協力的なのが響いたようだ。

傍らにいた、部長の部下が会話に割り込んできてこう続ける。
「だって、他の人ってナンダカンダ理由を付けてやってくれないじゃない。」
別の感情が入り交ざっているように思えるが、ここぞとばかりに我が部署への不満をぶちまけているようにも聞こえる部長の部下…。
うーん。思い当たる節がいくつかあるにはある。
「いちばんやってくれる人が選ばれる、って自然なことでしょ?」
ただし、これは私が選ばれた理由、というよりも、他の人が選ばれなかった理由、に聞こえてしょうがない。

この部下のセリフを踏まえてかどうかは定かでないが、
部長がさらに被せてきた。
「他の課員も優秀だから。時間の問題だよ。でも今回はキミだけだ。プロジェクトはそれだけ重要だってこと。」

なんだか評価されたことを喜んでイイのか、部内の人間関係を考えて悩んだ方がいいのか、複雑な心境。

でも
「俺はキミが主任、ということを認めていない。」
と直属の上司である課長から言われて、どうすりゃいいのか、ってのは複雑な心境だ…。

こうして、初めての昇進が決まった。