treedown’s Report

システム管理者に巻き起こる様々な事象を読者の貴方へ報告するブログです。会社でも家庭でも"システム"に携わるすべての方の共感を目指しています。

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ThinkPadは自分で分解するメーカー保証がある

久々にThinkPadを褒める記事、第七弾です。
ThinkPadは一部メーカのPCと違って分解が可能なのですが、ユーザが分解したとしても保守・保証自体が消滅するということはありません。(ただし条件アリ)

どんな保証?

と、いうのが、
「サービス部品CRU (お客様による交換可能部品)」という保証サービスがあるという点です。
国産PCメーカのほとんどはユーザによる分解を認めないことと交換にメーカ保証を適用しています。つまり、ユーザがいじったところがあればPCとしてはメーカ保証から外してしまう、という条件をメーカ保証に加えていることが多いです。
ThinkPadは少々毛色が異なり、自社のFRU番号が付随した部品であればユーザ側での交換を容認しています。つまり自社の交換部品をちゃんと用意して換装するユーザに対してはメーカ保証を保証期間内は継続するという特徴があります。
これがCRUです。※正式名称は「Customer Replaceable Unit」といいます。

ユーザが交換できる部品はあらかじめCRUに定義されています。
代表的なところでは、HDDやSSD、メモリ、キーボードといった比較的交換が容易な部品についてはユーザ側で交換が可能です。
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順番としては、

  1. 部品が送られてくる
  2. 自分で交換する
  3. 動作確認⇒動作OK
  4. 壊れた部品を返送する(返送不要な部品もあり)

という4ステップです。

なんで便利か

特に便利なのは、以前の記事<ノートPCのキーボードが故障? - treedown’s Report>にあったようなキーボード故障を例に持ち出すと、修理のためにメーカの修理センターに配送しなければならないため、いちいち準備が大変です。

再掲となりますが、

  1. 代替機のPCをキッティングしてデータ移行
  2. 移行後PCを発送
  3. 修理手配、見積もり
  4. 修理発注
  5. 修理待ち・納品
  6. 代替機からデータ移行し復旧

ようするに代替機用意してデータ移行、というがまず第一の手間です。これも一からPCを作り込んでいる方からすると結構な作業です。アプリケーションのインストールもなかなかの作業になります。

PC発送後修理をメーカにお願いするわけですが、メーカの状況(忙しさや部品の手配状況)によっては結構な時間が掛かることがあります。こないだメーカ修理に出たThinkPadでないPCでは一カ月掛かって実は修理が終わっていないという…、理由を聞くと修理部品の一つが入手できず部品入荷に時間が掛かっているという回答がメーカから来ました。なんともはや。

最終的に修理完了して戻ってきたとしても、メーカによってはOS初期化=リカバリが掛かっていることがあります。※中にはOS初期化せずそのまま返却してくれるメーカもあります。まちまちです。
もし、このOS初期化されるようですと、代替機で実施したのと同じく、本番環境に使えるようにするために、Windows Updateやらアプリケーションの再インストールやら、周辺機器を再度認識させるとか、復旧に再度同じ手間が掛かってしまいます。環境を復旧させたあとは代替機からデータを再び移行して使えるようにしなければならない、ということです。

修理センターに修理に出すと、これだけの手間(ないしこのうちの一部)が掛かるということですね。

CRUだと

で、ポイントなのは、例えばメモリやキーボード故障であってもメーカのルールでOS初期化がされてしまう場合には、自分のデータは代替機に退避させておかなきゃいけない、という点です。アプリケーションのライセンス移行(アクティベーション解除とか)も実施しておかないといけない、ということですね。
メモリやキーボードくらいなら、交換してそのまま利用できるレベルの故障なのですが、メーカルールで修理センターに入ってしまうとOS初期化というルールがあれば例外なく消去されてしまうからです。
またメモリやキーボードくらいなら交換して即終了なんですが、これが認められてない場合にはもれなく修理センターに出して故障部品交換⇒返送、と言うステップになります。少なく見積もっても一週間から二週間程度はPCを使えなくなる期間が発生してしまいますのでどうしてもユーザ用の代替機が必要になってしまいます。

ここでCRUなら、部品発送⇒自力で交換⇒交換後部品発送、という三ステップで完了するのでPCが使えなくなる期間も最小限で済みますし、故障した部品によってはPCを使いつつ修理用の代替品を待つ、ということも可能になります。

分解慣れしていなくても大丈夫、ちゃんと保守マニュアルが公開されていて、PDFをダウンロードすればFRU番号を調べるところから、どのねじを外してどうやって交換してけばいいかは部品交換を完了するところまでちゃんと解説してくれています。

考えようによっては便利ですね。

メーカ保証

つまり交換する部品がきちんとメーカのFRU番号が付いた部品に交換するのであれば、誰が分解したかという点は問われない、のがこのCRUサービスです。
PCの分解をされている方はよくネット上にいらっしゃいますが、そういった方であればCRUで換装する程度の作業は余裕で完了できてしまいます。
もちろん、マザーボードや電源ユニットのような深いところの部品交換はCRUの対象外部品だとは思いますが、簡単な部品交換であればユーザ側でできる、という点は使えなくなる時間を短縮することで、結果として時間を節約できるという観点から見るとうれしい一つのサービスだと個人的には思っています。