不定期にThinkPadを褒める昔話、第五弾です。
天板って?
液晶の裏手です。要するにWindowsの設定ではラップトップのカバーとか呼称されている部分です。
ThinkPadの天板はフラットです。要するに突起や凸凹がない平面な天板だということです。
ThinkPadの天板がこのようにフラットなのには理由があるのです。
今日は2つのフラットについてご報告します。
どういう話かといえば
出先で、突然紙にメモしたいこと、ってありませんか?
そういう時に限って、机・台などがその辺になくて、空中で紙とペンでメモ…という困ったシチュエーションです。
クリップボード(クリップファイル・用箋ばさみともいう)があればいいのですが、日常的にクリップボードを持ち歩く方は少数派ですよね。
このとき、クリップボード代わりにThinkPadの天板が使えます。
何に掲載されていたかは忘れましたが、このクリップボードの代わりにThinkPadの天板を利用する、というのは公式に開発者の狙いとして設定されていて天板をフラットにしている、ということなのです。
つまりThinkPadの天板はフラットでなければならない、という具体的な開発上の要件として挙げられている、ということになります。
確かに昔のThinkPadから主要なモデルをざっと眺めてみると、天板がフラットでないThinkPadというのは見当たりません。
つまり、このいざという時のメモ台としてThinkPadを使えるように天板がフラットになっている、ということなのです。
他社を見渡してみるとレッツノートやデルPCではこの使い方はできません。(笑)
フラットつながりで、こっちのフラットも
ThinkPadは液晶を開いて180度水平にすることができます。意外と他社のPCではこれができない機種は多いです。
これがフラットになると何がいいかと言いますと、「対面している相手(顧客など)に対して正方向で画面を見せることができる」という点がよいポイントになります。おそらく他社でもできる機種はあるので、ThinkPadだけの話ではありませんが、他社の一部モデルではこれができないことがあります。しかもできるかどうかは実際に使ってみるまで分からないことが多いです。ThinkPadはこのあたり全機種にこだわって開発されているようです。(最近はちょっと変わってきてるかもしれませんけど)
ちなみに回転させるには、お使いのThinPadで
「Ctrl」+「Alt」+「矢印キー(どれか)」
を押下してみてください。元の表示に戻すときは、
「Ctrl」+「Alt」+「↑」(上向き矢印キー)で戻せます。
何ができるかというと、こんなこともできる
縦の解像度が「どうしても」欲しい時ってありますよね。特に最近の液晶は4:3は絶滅し16:9がオンリーワンです。16:9でどうしても縦が欲しい時、あるはずなんです。
例えば、ターミナルでCUIのコンソールを開いてログチェック(tail -f)などでどうしても縦の解像度が必要な場合、外付けキーボードを接続して「Ctrl」+「Alt」+「→」(or「←」)で回転させ、ノートPCを立ててしまうと、縦の解像度をたくさん使える状態でThinkPadを利用することも可能です。
つまりこういうことです。
ここまでやる人はいないか(笑)。
ただし、周囲の人によっては変人扱いする可能性があるので、あまりお勧めできるわけではありません。
でも液晶モニターが回転して縦向きにできる製品があるのですから、こういう使い方もなしではないのかしら、と個人的には思います。
フラットならではの使い方…ですかね。
ThinkPadデザインの歴史話
90年代のThinkPadといえばオールドファンには懐かしい話かもしれません。私はそのころはPC-98、例えばPC-9801Ne3を使っていたのでこの頃のThinkPadはあまり知らないのですが。
ThinkPad701Cというのがこの歴史上で象徴的なモデルです。
このモデルはB5ノートPCなので今で言えばXシリーズに該当する、Xのご先祖様といえます。これより前にThinkPad220やThinkPad230Csといった小型モデルが日本で注目されたのですが、海外では「キーボードが小さい(小型)」という理由で受け入れられず販売されなかった経緯があります。
この海外で受け入れられなかった理由を踏まえてブレイクスルーした機種がThinkPad701Cで、B5サイズでフルサイズキーボードを搭載した当時画期的な機種です。そう、バタフライキーボードと呼ばれるあれです。
このアイデアに加え優れたデザインが評価されて、ニューヨーク近代美術館に展示・永久保存されるまでになった、という、もうパソコンなんだか美術品なんだかよくわからないものに進化してしまった事例です。
A4ノート薄型のご先祖様はThinkPad 560が1996年に発表されたところからスタートします。この頃はA4ノートで液晶サイズが12.1インチ(しかもこれで巨大なディスプレイという種別)でした。今のB5ノートと同じサイズの液晶がA4ノートに搭載されていたんですね。
この後継機種はThinkPad 570が1999年に発表され同じくニューヨーク近代美術館に展示されているそうです。
これが今のTシリーズの始まりになっているというのもなんだか不思議な感じです。XシリーズもTシリーズも20年ほど掛けて進化したというか20年の積み重ねで今の形が出来上がったのかと思うと、歴史の重さも感じ取ることができます。
訃報がございます。
IBM時代のThinkPadをデザインした(デザイン顧問)リチャード・サッパー氏が昨年12月31日亡くなったそうです。ご冥福お祈りいたします。
この方がThinkPadを黒にすると決めたおかげで、現在の流行り廃りない黒のThinkPadが1992年最初のThinkPadデザインから始まったそうです。ということは「ThinkPad 700C」ということでしょうか。
ThinkPad 700Cを画像検索などで検索してみると分かるのですが、この1992年に発表されたモデルから現代のモデルを比較しても、外観のデザインはそう大きく変化していません。
24年間を経ても廃れないデザインを生み出してくれた偉大なデザイナーの一人ですね。心からお礼を言いたい気分です。
優れたデザインを世に送り出していただき、ありがとうございました。
この気持ちをもって愛用するThinkPadを使わせていただくようにします。