treedown’s Report

システム管理者に巻き起こる様々な事象を読者の貴方へ報告するブログです。会社でも家庭でも"システム"に携わるすべての方の共感を目指しています。

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Sony様へ、もう一度CLIEぐらい冒険して端末を作ってくれませんか?

今日は昔話です。
CLIEって知っていますか?

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こんなの。
CLIESonyが開発したPDAです。元CLIEユーザとして意識してしまうのは、最近のXperiaです。

なにも、今更WebOS(PalmOS)を担ぎ出して昔ながらのPDAを作ってくれ、という話ではありません。
正直CLIEをそのまま復刻させる、というのは私のような昔を懐かしむファンが喜ぶだけでしかないので、世の中にそれほどの価値をもたらすというわけではない、というのは分かっています。
ただ、CLIEという端末がいかに当時画期的だったか、ということは当時を知るファンなら誰でも知っています。
他社の競合製品と全く異なる価値を端末に載せていた、という点において非常に優れた、かつ魅力的な製品をPDAユーザに提供してくれていました。あまりにCLIEしか売れないものだから本家Palm社を日本市場から撤退させてしまったほどですから、製品にかなりの魅力が込められていたのは間違いないです。

こんなブレイクスルーをスマホでも期待したいと思っている一ユーザの声です。

入力デバイスがいい

この時代のSony製品は「ジョグダイヤル」です。

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この時代のタッチは今と方式が違うのでスタイラスペンが必須でした。スタイラスペンは必ず両手で使う必要があるので電車内などの限られたシチュエーションでは片手で使うために、CLIEを取り出してジョグダイヤル(JOG)で操作します。
他社の入力デバイスと違って心地よいのは、ソフトウェア(UI)側もJOGで操作するような想定で作りこまれている点です。くるくるぴっぴでスクロールやメニューの移動がしやすいようによく作りこまれています。デバイスとソフトウェア側の一体感でこのJOGダイヤルの使いやすさが実現しているといえ、非常に手になじんだよい入力デバイスでした。例えば分かりやすいように他社の携帯と比較してみますと、スクロールするにはボタンを押し続けるか連打するかの二択です。グルグルJOGを回転させると好きなだけスムーズにスクロールできる操作感は(私の主観では)デバイスとして完成度が高いです。
加えて、操作全般がJOGだけで完結できるので、操作の際のホームポジションから手を大幅に動かさなくていい、という点が快適ですね。
これも携帯の話ですが、ドコモショップで機種変更の待ち時間で店員さんも
「SOを使ってるお客さんって、みんな次もSOをご希望されるんですよね。JOGを使ったらもうJOGから離れられない、っていうお客さん多いんですよ。」
と認めるほどのデバイスです。
JOGダイヤルは「+JOG」以来長らく出ていませんので、もう最近では滅亡してしまったデバイス、という位置づけですね。私はいまだ使っていますが。

カメラが(無理やりだけど)搭載されている

この時代は携帯にもカメラが一般的ではない時代でして、持ち運ぶPDAに搭載するカメラで撮影できるのは仕事上かなり役に立ちました。徐々に携帯電話にカメラ搭載され始めたタイミングでもあります。
いまはカメラあるじゃないか、という声もありますが、ちょっと待ってください。

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このカメラ、2003年の時点で200万画素というおかしな画素数のカメラを搭載しています。当時の携帯は63万画素~130万画素くらいだったと記憶しています。それ以上の画素数が欲しい場合にはデジカメを使う必要があるのですが、このPDAは単体で小型のデジカメを搭載しているようなものなので200万画素の写真撮影ができるのです。
しかも上図をよくよく見てみると、フラッシュが付いています、これはフォトライトではなく、"デジカメにも搭載されているフラッシュ"です。この当時としてはPDAにデジカメを載せてしまうなんて…、と唖然としたものです。
しかも2倍のデジタルズームができます。デジタルズームは当時の携帯電話付属のカメラにはマネできない芸当です。
でも、これだけ豪勢に機能を詰め込んだものだから、バッテリが持ちません。フラッシュたいてカメラで撮影したら一時的に電圧が下がってしまってしばらく休ませないとPDAとしても機能しません。(笑)
まさに予備バッテリ必須のPDA、この頃から既に予備バッテリ必須、という時代を先取りしていた機種といえます。(笑)
おまけにこの機種、FeliCa(非接触ICカード)リーダー搭載、という先取り感満載で、おサイフケータイも普及していない状況で既にSuica/Edyの残額・取引履歴が読める、という素敵(?)機能が搭載されていました。(※それほど素敵でもないか?)
当時、交通費精算のために月末に申請書書くとき、いちいち記録(メモ)しなくてもこれでピッと履歴を出して申請書に転記すればよかったので地味だけど便利に使っていた記憶があります。

スペックが足りないからCPUを自社で作る

私は(当時お金がなかったので)所有していないのですが、PEG-UX50の開発者インタビューを読んだときの記憶です。
CLIEという製品の機能に要求されるCPU性能が足りなくなったので、らちが明かなくなった開発陣はCPUを自社開発・自社製造までしてしまいます。CPU名は「Handheld Engine」といいARMベースのCPUを開発してしまいました。
ないから作ってしまおう、ぐらいの話だったように記憶しています。ここまでくるとPalm…?と疑いたくなってきます。
CPU性能が足りないからCPUから作ってしまえ、なんて私は聞いたことがなかったので新鮮に感じました、というのと作ってしまえで作れてしまうのがもうなんなんだか…ステキです。

製品の定石を超えた使い方の提供

ちょっと懐古趣味になりつつあるので話を戻しますと、こういった魅力的な製品こそがSony製品の良さだと思うのです。
その製品の競合他社製品と違う使い方の提案が我々ユーザの想像を超える使い方だったときに、「この製品、使ってみたい…。」と思うところに購買意欲が生まれます。
(私はそうだ、という風にお受け取りください。他の人は違うかもしれない。)
でもそういう意欲的な製品、市場に受け入れられるかどうか分からないトんがった製品、ユーザの創造の斜め上を超えてくる製品、これがSony製品を魅力的に感じる理由なのですが、Xperiaは結構守りに入っているように見えてしまいます。
※当然企業として利益を追及しなきゃいけないから、というのがその理由なんだと思いますが。
製品自体は何年かに一回かで構いませんので、こういう意欲的な製品というカテゴリも世の中に送り出してもらえないものでしょうか、と思うのが一ファンの願いです。

Sony製品のファンとしては、またこういうセリフを言いたいです。
ソニーがまたやっちまったよ。(いい意味で)」
復活を待っています。