treedown’s Report

システム管理者に巻き起こる様々な事象を読者の貴方へ報告するブログです。会社でも家庭でも"システム"に携わるすべての方の共感を目指しています。

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(1/2)終電間際に来る依頼あるある(?)

その日は作業が立て込んでいて遅かった。
その作業が何だったか記憶にない。とにかく立て込んでいて終電まであと一時間というところまでに迫っていた。
終電は逃せない。部門内にはちょっとした緊張感が漂っていた。

ある程度で区切りを付けて、終電には間に合わせないと。

部屋の中には無言で全員がそう考えて手元のPCでの作業を終わらせるのに必死でキーボードをたたいていた。

やってきた恐怖の大王

そんな最中に総務部長がシステム部門の部屋にやってきた。年齢こそかなりのお年を召されておいでだが、確か最近着任したばかりの新任総務部長だ。

総務部長は、私の隣に立つやいなや突然に発言を始めた。

「いまから、全社員向けにメールを配信してください。」

最初は私が話しかけらた、という事実を認識することすらできなかったくらいに、突然に、だ。その会話は始まった。

「ん、ん?私ですか?いまから?全社員向け、とおっしゃいますと…。
携帯メールで全社員に配信する、ということをおっしゃられていますかね?」
ドギマギする私の返事を聞けば、総務部長は悪びれることなく発言を続けた。

「そうですよ。それ以外に全社員向け、なんてないでしょう?」

その言葉には"いまさら何を言っているんだ"という含みが聞き取れた。
いや、逆質問されても困るんだが、と内心思ったが口には出さないでおいた。
だが、これには問題がある。

その問題とは

昔は携帯電話にメールを配信する、というのはちょっとした一苦労だったもので、この話はそんな時代の昔話。
その時代のメール配信システムは、Linuxメールサーバにちょっとしたシェルスクリプトを組んで、配信にディレイを掛けてキャリアの迷惑メールフィルタに引っ掛からないように携帯メールを配信していたもので、非常に簡素な古き良き時代のシステム。

そんなメール配信なものだから、送信先アドレスが多くなればなるほどに、配信時間がズレにズレ込み、時間が遅くなってしまうこともしばしば…。

夜中に携帯メールで会社から情報発信されることについて、社員からは否定的な声が挙がっている。もはや終電も差し迫ろうこの時間帯に、全社員宛てのメールを配信するというのは、またこの否定的な声を社内で大きくしてしまうことになるまいか、と言う懸念がある。
社内では以前になんどもこの議論になった、そこで発信側(主に賛)と受信側(主に否)の両方が妥協する折衷案として、遅い時間と仕事中には発信しない、つまり、定時時間帯から21:00くらいまでを目処にメール配信をする、それ以降の時間帯に配信が掛からないようにする、というものだった。

雲行きが怪しくなる

繰り返すが、今は終電が差し迫った、いわゆる
「深夜」
という。電話したら
「夜分に恐れ入ります。」
と枕詞につけるような時間帯なわけだ。

正直にこの懸念を伝えた。ようするに明日にした方がいい、ということを。
総務部長にはこの発言は不快だったようだ、明らかにムッとしたような表情をし、

「じゃあ、どうすればいいんですか!」

声を荒げて私に食って掛かってきた。
あー、そのちょっと切れたら下の人間が動くだろう、みたいなのは、あんまよくありませんなぁ。
内心思ってたが、余計なことは言わない。

端的に言おう。
「要するにですね、明日にされたほうがいいですよ、ということをもうしあげておるわけです。」
続けて隣席のシステム部門社員が援護射撃してくれた。
「配信には時間が掛かるので、下手をすれば深夜1時、2時に携帯電話の着信音が鳴る場合もある、ということです。そうなると睡眠を妨げられた、という社員も居るのですよ。
これを言われないように、配信は時間を決めている、というのが管理職会議で決まっていたことじゃないですか。」

総務部長はますます不快な表情を隠すことなく、反論を始めた。

「でも、これは急がなければならないのです。一刻も早く配信しなければならない情報なんです。それでもダメだというんですか?あなた方は。」

は、話聞いてないな。
早くも妥協が必要なようだ。なにせ、終電まであと一時間を切っているのだから。
大幅に譲歩すべし。
「じゃあ、例えば、いまから用意するとして、明日の朝、早朝に配信されるようにセットしておく、としましょう。」
実際に緊急性が高いので配信を朝に実施したという前例はないわけじゃない。
「配信する文面はどこにありますか?」

予想をはるかに超越した答えが総務部長の口から発せられることになった。