treedown’s Report

システム管理者に巻き起こる様々な事象を読者の貴方へ報告するブログです。会社でも家庭でも"システム"に携わるすべての方の共感を目指しています。

昇進で上司から言われた言葉(後編)

初めての昇進はこうして滞りなく進んだ。
内示を受けてからほどなくして、社内の公示され昇格人事の詳細を示す通達が全社に向けて発行された。

その通達が発行された当日の午後。

別部署の主任

後日、主任に昇進の人事を通達見て、内示通り私の名前もそこには記載されていることが確認できた。どうやらドッキリとかエイプリルフールの類ではなかったらしい。
見れば他の部署でも昇格の名前はいくつもあって、いつもより昇格の数は多いように思えた。
その中に名前があったのがA部署のK君。3・4年は下の世代で若手の部類に入る。
別部署のK君も時を同じくして平社員から主任に昇格した社員だ。
皮をむいたゆでたまごのようなのっぺりした風貌の彼が我が課の部屋に入ってきて課員と会話を始めた。
「こないだのあの件、なんですけどよろしいですか。」
話を切り出すK君。
話しかけられた担当者はちょうど昇格人事の通達を見ている最中だったので担当者はからかい半分でこう返した。
「主任に昇格のK君じゃない。」
K君は昇格したのがうれしかったのか、はたまた主任のK君の響きに酔いしれてしまったのか、
「いやぁ、それほどでもないよぉ~」
と言いつつ心の奥から笑いがこみ上げてくるらしい表情を緩め、体をクネクネしている。
担当者は何かを察したのか、
「で、何の話でしたっけ?」
と本題に戻す。K君をおだてるのは一瞬だけに留めるようだ。
K君は、持ち上げられたせいか、ちょっと口調に変化が見られた。
「こないだのあれ、やっぱダメだよね。」

傍から聞いている私の耳にも多少の違和感があった。
違和感を説明することはできないのだが、これは何の違和感だろう。
K君は続ける。
「ウチの部署としてもさ、あれだと厳しいから。もうちょっと考えといて。」

話しかけられている課員の担当者は目を合わせず、黙って聞いている。
時折相槌のようなウンウンという声は聞こえるが、特に言葉は発していない。


ここで私は閃いた。

"主任、って持ち上げられてから、タメ口になってる!"

これが違和感の正体か。

これに気づいてよく見てみると、担当者の課員はウンウンと話には合わせているものの、目も合わせずに自分を落ち着けるのに必死のように見えた。
よく見れば全体的にイライラのオーラが出ているようにも見える。

うわっ、どうしよう、これなんかフォローできるか?
頭の中で、どういう援護ができるかを考えてはいたが、その答えを待つよりも早く、二人の会話は終わってしまった。

「そういうことなら、持ち帰って正式に上(上司)から出してもらってくださいよ。」
イライラが募った担当者の課員は、K君を一瞥すると、こういって会話を打ち切った。
会話を打ち切った彼はもう目を合わせることなく、ひたすらディスプレイを見つめキーボードを叩くと作業に没頭し始めた。

K君は取り付く島もなく、すごすごと部屋を退出するしかなくなってしまった。
帰るとき見逃さなかったしぐさが。

K君、
首をかしげて「なぜだ?」というジェスチャーを取る。

いやいやいやいや。

どう考えても、その言葉遣いだろう。

心の中で突っ込むも彼には届かず。

K君退場後

担当者の課員は収まらないようで、私を見据えて一言、
「今の、見ました?」
こう、言われると応えざるを得ない。
「ああ、タメ口のことでしょ?」
我が意を得たり、とばかり、担当者の課員はこう不満をぶちまけた。
「昇格したのはイイんですけどね。通達が流れたのを見計らって昇格初日にうろちょろして昇進おめでとうございます、とでも言ってほしいんですよ。アイツは。」
静かに怒りを感じながら、私は聞き続ける。
「いやいいんですよ。昇格したのは。こっちは昇格していないんで平社員ですよ。でもね。だからって昨日までの言葉遣いが昇格したとたんに失礼になるのは、それは違うと思うんですよ。」
私にはうなずくことしかできない。
「アイツはね、そういうヤツだったってことです。肩書がついたからって態度を変えるようなヤツだってことです。」

このとき、K君と同じ立場だった私は、いままでより丁寧に人に接するようにしよう、
と自戒した。

後日、K君は心を改め、タメ口を叩くことなくちゃんした言葉遣いに戻ったと、風の噂に聞いた。
(ただし、たまに探るように会話の隙間にタメ口を差し込んでくるらしいが)