treedown’s Report

システム管理者に巻き起こる様々な事象を読者の貴方へ報告するブログです。会社でも家庭でも"システム"に携わるすべての方の共感を目指しています。

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(2/2)社内ユーザサポートの存在価値三選

システム部門にとってのルーティン業務であるユーザサポートはどんな存在価値があるのでしょうか?ちょっと考えてみたことを昨日に引き続きご報告します。

改めてルーティン業務の存在価値三選

早速ですが三選です。
1.    ユーザの手間なく、使える状態にしてくれる「カスタマー」
2.    ユーザに知識がなくても、聞けば解決。「コーチャー」
3.    インフラの利用状態の人的可視化「スカウター

今回は”3.    インフラの利用状態の人的可視化「スカウター」”から深堀していきます。

インフラの利用状態の人的可視化「スカウター

これは多少間接的であまり実感できないことが多いのですが、
システム部門が綿密な監視をしていないとしても、ユーザという人的な監視が働いている、という効果が期待できます。
例えば分かりやすい所では死活監視です。サーバのユーザがサーバにアクセスできなければ「サーバが停止しています。」という連絡がユーザから来ます。ウィルスソフトが統合管理・統合監視できない対策ソフトだったとしても、ユーザが反応したウィルスソフトの画面を見つけてシステム部門にもれなく報告してくれる体制なのであれば、一種の人的な監視ができている、という考え方はできます。(もちろんそれだけに依存する、というのは考え物ですが)
ネットワークの帯域が不足し始めた、とするとユーザからは「最近なんだか遅いんだよね…。」という相談が挙がってくることもあります。

前置きが長くなってしまいましたが、ユーザサポートでユーザとやり取りする内容にはこのような生きた情報が含まれていることがあります。これによって社内インフラの利用状態がぼんやりとでも可視化できることになります。
何が頻繁に使われているか、何が頻繁に負荷が掛かっているか、こういった情報は監視システムを高額支払って導入しないと数値の指標として測ることはできないのですが、高額なシステムをそうそう軽い感じで導入できる企業はそれなりの規模感の企業であって、中小企業で監視システムを導入するというはハードルが高いものです。
こういった場合にユーザとコミュニケーションしているシステム管理者は日頃からのユーザとのコミュニケーションで「いまどこを増強しなければならないか」が頭に残っていることが多いので、いざ投資しなきゃいけない場面でどんな投資をすることでどれくらいの価値が生まれるか、という点をうまく考えることができるようになります。
ユーザとのコミュニケーションを遮断していたシステム部門の場合、こういったコミュニケーションから得られるインフラの利用状態や状況をすくい上げることが出来ず、予算の使いどころとなる強化ポイントがピントがずれた投資になる可能性もあります。ピントがずれた投資を繰り返したシステム部門は組織内では果たして役に立っているのか?という懐疑的な見方をされてしまうこともあり、最悪の場合には部署解体などというドラスティックな決断をされることも世の中にはありますので注意は必要です。

つまり、ユーザとのコミュニケーションを遮断してしまうからには、監視システムや管理システムを駆使して、ユーザに不満がない状態を常に作り出せることが条件になるということです。水道のメンテナンスがいちいち私たちとコミュニケーションしなくても水が使えるようにできているのはこの「監視・管理が完成しているから」と考えられます。電気も似たようなものですね。ただ、電気の場合各家庭のブレーカ以下、の部分はどうしても家庭内で依存してしまうので電気保安協会のような組織が数年に一回くらい各家庭を回って検査・メンテナンスを実施しています。

社内システムがこのような生活インフラのように使えて当然な現代においては、
⇒ご自身の社内インフラが水道のような完成されたものであるのであれば、それほどユーザとはコミュニケーションをとらなくてもいい、という考え方はできます。
⇒完全なる監視管理に穴があれば、やはり必要なのあれば電気のようなユーザとのコミュニケーションは取っておくべき、といえます。

監視システムがない、あるいは有効な指標が使えない場合のシステム管理者においては、この「スカウター」ロールがあることで、ある程度のレベルまでは代替することができる、と考えられます。

評価されるシステム管理者

システム管理者の評価はシステム部門の所属長が評価するというのは一般的な考え方です。どの会社も上司が部下を評価するのは当たり前のことです。
ですが、システム管理者のうち特にユーザサポートを日常とするシステム管理者はユーザが評価する、というのも一つの評価指標になるように思えます。だからと言ってサーバ管理者のことをユーザが評価するのは正しい評価にならないことが考えられるので、システム部門すべてをユーザが評価するのは間違いですが。
システムが誰のためにあるかというと、システムオーナーであるユーザのため、といえます。システムオーナーであるユーザ部門がいかにシステムが業務に資するのか、という点がシステム部門の存在価値の一つの役割だと考えています。
この考え方で言えば、システムという強権をもつシステム管理者はユーザからの評価で、「いかにこのシステム管理者が自部門の業務に対して貢献したか」という評価指標があってもいいんじゃないかな、というのは一つの思うところです。

独裁者的なシステム管理者はかならずこの「ユーザからの評価」が低くなると思います。独裁的なシステム管理者はどんな組織でも生まれがちですが、こういった評価指標が一つ入ることで、独裁的なシステム管理者が生まれることを抑制できるのではないかと考えました。

まとめ

ルーティン業務は日常業務、ゆえに「やって当たり前」「できて当たり前」という認識の業務になりがちですが、漫然と業務にあたるシステム管理者とユーザから何かを吸収しようとするシステム管理者とでは、成長力に違いがでてきます。
システム管理者はユーザに資するのが基本、という点を考えておくとおのずと自分はどのように考えて日常業務を遂行していくか、という筋道が見えてくるものです。