treedown’s Report

システム管理者に巻き起こる様々な事象を読者の貴方へ報告するブログです。会社でも家庭でも"システム"に携わるすべての方の共感を目指しています。

※https化しました。その影響でしばらくリンク切れなどがあるかもしれませんが徐々に修正していきます。 リンク切れなどのお気づきの点がございましたらコメントなどでご指摘いただけますと助かります。

もらったAPで分かった、古いAPの足切り基準(3/3)

長々やってしまいましたが、今日で完結編です。

  1. 無線LAN規格(IEEE802.11a(W52/W53)/an/b/g)と同時利用可不可
  2. 無線LAN暗号化設定にWPA2-PSK(AES)が選択可能かどうか
  3. 通信速度(ac=1Gbpsぐらい、anやgn=72Mbps-600Mbps、a/g=54Mbps)
  4. 有線LAN部分の通信速度(ギガ=1Gbpsか100Mbpsか)
  5. 推奨される無線子機の接続台数
  6. マルチSSID複数SSID同時利用)
  7. 不要な機能をOFFにできること

この項番(5)までを解説しました。

6.マルチSSID複数SSID同時利用)

それほど重要でもありませんが、あればあったで便利なのがマルチSSIDです。もう少し詳細に言うと、SSID別に802.11a802.11gを1台のなかで区別できる無線APが意外と便利です。特に自分以外の人が利用する(利用させる)APを設定する場合、機器別にSSIDを使えて後は使う人が設定すればよい状況にできるのが良いです。
これがマルチSSIDでない場合には、a/anかg/gnかを選択してAPの設定を用意しなければなりません。
なので、無線子機側がaとgの両規格が混在している環境の場合には、どうしてもg側に寄せざるを得ません。(aの機器はgが使えることがほとんどだが、gのみの機器でaが使えないケースも多いため)
マルチSSIDであれば、aが使える機器はa用のSSIDを、gのみが使える機器向けにg用のSSIDを伝達して設定してもらえればそれでよいので、無線親機に接続する時の手間が少なく済みます。

注意点として、マルチSSIDを謳っている無線APのすべてがa用とg用のSSIDを使い分けられるわけではない、という点には注意が必要です。
つまり、a/gはあくまで選択制であり、マルチSSIDで使い分けれるのはWEP/WPA/WPA2を使い分ける、という機能でマルチSSIDを謳う機器も多くあります。このあたりの点も注意して確認しておく必要があります。

7.不要な機能をOFFにできること

地味ですが、結構重要です。
たとえば、DHCP機能をOFF(無効)にするチェックボックスがWeb設定画面のUI上に存在しているかどうか、ということです。
自分が不要だと思う機能をOFFにする理由は、誤動作を起こす機能を明示的に無効化することです。
DHCP機能がLAN内に複数存在していれば、IPアドレスのバッティングなどの不具合が発生します。
無線LANですから吹かなくていい電波は極力停波して自分が使う電波だけをAPから出力するようにしておくことで電波干渉を防ぐことになります。
これが、無効化できない(ないし無効化するための設定画面が存在しない)という製品もありますので、注意してみてみましょう。
実害は、いざ使い始めてから障害という形で知ることになるのですが、それを知った時には後悔する以外の選択肢は残されていないです。

長くなりましたが、スペックから分かる情報としては、ざっくりこれだけ確認して条件を満たしていれば、アリなんじゃないでしょうか。

802.11aを使おうと決心したときチェックしておきたい機能

ここまでの説明でなんとなく802.11a電波を使うと電波干渉が少ないからよさそうだ、gの電波は干渉が多くてもう使う気にならない、という気になってくれた人がいるかもしれないと思いましたので、追加で一点、気にしてみて欲しい機能をご紹介します。

「DFS機能」という機能です。

これは802.11a(W53)規格のチャンネルを利用するときに有効な機能で、a電波の電波干渉をより少なくする機能です。
電波干渉の対戦相手は以下のようになります。

  • 802.11a=気象レーダー(気象衛星)の電波
  • 802.11g=電子レンジ、コードレス電話、など(多くの家電の)電波

g=2.4GHz帯の電波は電波干渉となる種類(対象の機器)が多いです。なのでaの電波に逃げるというベストソリューションを選択した場合、気象レーダーの電波を気にする必要が出てきます。(逆に言うとaは気象レーダーの電波だけ気にしていればよい。)
DFS機能が使えるAPで機能を有効にすると無線APの起動時に気象レーダーの電波検出を実行し電波を検出すると干渉しないa電波(W52/W53)のチャンネルに自動変更してくれます。ただでさえ干渉が少ないa電波に加えてこのDFS機能を使うと、唯一の干渉となる電波すら自動で回避してくれるため、電波干渉を気にしなくてよくなる可能性が高まります。

外見から分からない情報を調べる

最後に、このポイントです。
無線APを設定するには、「IPアドレス」「管理者ID(ない場合もある)」「パスワード」の3つが必要になります。これが分かるかどうか、によって使えるかどうかが大きく変わります。
ただし、これらの情報は「機器に設定済みのもの」である必要はありません。前述の初期化スイッチでファクトリーリセット(工場出荷状態に初期化)する方法と、工場出荷状態でアクセスするためのIP/ID/パスワードが判明していればそれでOKです。
メーカのホームページなどでマニュアルが公開されているかどうか、マニュアルにファクトリーリセットの手順が記載されているかどうか、またファクトリーリセット後のアクセス方法(初期設定方法)が明記されているかどうか、によって判断をすればよいという条件です。

最終的には使いやすいかどうか

簡単に言えば、自分にとって設定しやすいかどうか、です。
私はIPアドレスを設定してWebUIで設定を実行するかtelnet/sshCUIからコマンド入力して設定、という方が慣れていますのでやりやすいです。
が、メーカー提供の設定ソフトウェアを利用する方が使いやすい人も世の中には居ますし、最近ではスマホにアプリをインストールして、スマホから設定できる無線LAN親機もあるようです。
どの方法が使いやすいかは個人差があるので、自分が使いやすいと思えるアクセス方法/設定方法が採用されている無線LAN親機かどうかはよくよく判別したほうがいいと思います。

3回に分けて記事にしました。ちょっと長くしすぎましたね。反省です。

無線LANの技術はようやく落ち着いてきた段階なので、そろそろ新しい機器の購入を検討するのもいいかもしれません。