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treedown’s Report

システム管理者に巻き起こる様々な事象を読者の貴方へ報告するブログです。会社でも家庭でも"システム"に携わるすべての方の共感を目指しています。

電子図書館:これなら図書館に行こうと思う図書館の電子化インフラ設計

最近ニュースで図書館の近代化と民間業者を入れたことで問題が起きている点、静かに報道されています。
私は小中学生くらいまでは図書館をヘビーに利用していましたが最近はめっきり利用しなくなりましたので多少時代錯誤な話があるかもしれませんが温かく見守ってください。
こんな図書館で書籍を借りられるなら行ってみようと思える内容を表現してみました。

昨今電子書籍が盛り上がりを見せている中で、図書館も電子書籍を提供してくれるといいのにね、と思っていましたが、結構どこでも苦労しているように見えます。

今日は、個人的に考えた電子書籍を借りられる図書館、についてご報告します。
なお私はただの一般人です。

私が公共図書館に行かない理由

私は公共の図書館に足が向かなくなっているので、古い記憶しかありませんがこれと思った書籍に出会えないイメージがあります。
特にITエンジニアですから、IT関連の技術書は高い、あれもこれもと買っていたら書籍代だけで月の食費を上回ってしまいます。
こういったときに図書館は心強い味方、となるはずですが、人気のある書籍は常に貸し出し中であることが多く、返却された後すぐに別の利用者が借りていってしまうから、毎日でも図書館に足しげく通える環境でなければお目当ての書籍は借りられないという点、需要が多い書籍は入手性が悪いというのは道理なのでこれは仕方ないことです。
で、これが仕方のないことなので、図書館に頼るのはいけないこと、という自分ルールが適用されてしまいます。要するに借りられないのは仕方がないことだから必要な書籍は自分で購入するべき(って言われそう)という流れの思考に行きつきました。
出会えないといっても蔵書としてない、という意味ではなくて、私が借りたいと思うような書籍はたいてい誰でも借りたいから、返却されたタイミングに私が図書館に行くかどうかは運でしかない、ということです。その足しげく通う時間を書籍代という対価で買う、と自分に言い聞かせて書籍を購入するということです。

なんで図書館に借りに行って無駄足になるか

本は紙に書かれた情報を知識として脳に補給する、というためのメディア(媒体)に過ぎません。本(紙)という名の記憶媒体です。でも重要なのは本(紙)というメディア(媒体)に書かれた"情報"です。
なので、私は紙束が必要だから図書館に借りに行くのではなく、情報が掛かれた媒体を借りに行くために図書館に行くと言えます。(だいたい入手できず、書店に行くことになるのですが。)
要するに図書館にないのは、この記憶媒体が貸し出し中で存在しない、というだけです。
ならば、このメディア(媒体)が電子書籍なら、記憶媒体自体の存在は問われないデジタルデータなので貸し出し中ということによって無駄足にはならないのでないか?と思いました。

実際に電子書籍に取り組んでいる自治体もある、けど…。

電子図書館という名称で欧米に遅れている、と煽るニュースは散見されます。
電子書籍を貸し出してくれる自治体もあるようです。私の周辺では聞きませんが。
でも、電子書籍でも1名貸し出したら他の人が借りられないようにロックしている、というルールは適用させているようですね。
また貸し出し対象の電子書籍は「電子書籍として出版されている作品」でないと対象になっていないようです。
大量の古書を廃棄して問題になったりする図書館もある、という点で思ったのは、これだけ"自炊"という電子書籍化の技術が発達しているのですから、廃棄するくらいなら"自炊"予算を確保して電子書籍としてキープしてから廃棄、というほうがいいのではないですかね?と思ったりもしました。保管スペースのコストは削減できますし、古い資料の保全にもなりますし。
そして、自炊で電子化された書籍を電子書籍として借りたいと思う本もあるのは事実です。

ですが、電子書籍となった時に…

無理にサイト運営して電子書籍を展開しなくていいんじゃないか?

これです。
電子書籍のサービスだから電子的な通信上に乗せなきゃいけないという前提で、図書館の電子書籍は(いや電子図書館という枠組み自体が)語られているように思えてなりません。
実際にこのようなECサイト的な運営をやれば、別のコストとしてサイト運営費やセキュリティ対策費が掛かってくるのと別の人件費(サイト運営エンジニア費用)が掛かってくるのです。予算が限られる中で民間企業がやるような電子書籍の提供方法をわざわざ公共の図書館でやらなくていいんじゃないか?と思います。(もともとこれが発端です。)
いや?まてよ。
電子図書館、という名称で勘違いが横行している可能性もありますよね。
電子図書館なんだから、実態はインターネット上のWebサイトに開設しなければならない、みたいな幻想に振り回されていないか?と。
電子図書館は電子的なコンテンツを貸し出してくれるリアル図書館が存在していればいいだけなのです。つまり公共図書館電子書籍を貸し出してくれれば立派な"電子図書館"です。

いままでの図書館で書籍を借りる人にとっては図書館に行って借りればいい、という温度感であってインターネットから借りる、という行為はそれほど便利に思えないんじゃないか?と考えてしまいます。
逆にインターネット経由で電子書籍を借りるECサイト的な貸し出しシステムが試験的に導入された自治体から他の自治体への拡大が見られないのはそういう行動の証明になるんじゃないか?と感じます。

ただし、いずれの図書館でも電子書籍を制御するためには、後述する点についてインターネット経由でのデータ管理は必須になります。

私が思う図書館の電子書籍貸し出し

どうせ予算を投資して電子書籍用のインフラを整えるのなら、インターネット経由で電子書籍をやり取りするよりは、図書館に来館する人がより手軽により簡素に、より便利な貸し出しになるようなインフラ整備をしたほうが発展的に思えます。それこそ民間企業を入れて利権の戦いになるような図書館より、来館する人にやさしい図書館であることのほうが図書館の存在がより公共サービスとしてしっくりくるのが私の感覚です。
最近は便利になったもので、非接触ICチップリーダに記憶できる容量も増えて、さらにマイナンバー制度などのインフラも整備が進んでいます。
スマホは非接触ICチップ経由でデータダウンロードができることは有名で結構前からクーポンや電話帳のやり取りに使えるようになっています。
このICチップとみんな持ってるスマートフォン、加えてちょっとした認証管理を用意すれば以下のような構成は可能なんじゃないでしょうか。
図:図書館貸し出しの図

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要するに、来館者が電子書籍を借りる際には、スマートフォンを鍵としてNFCかざして認証&電子書籍データダウンロードまでを実行してしまう、ということです。
インターネット上のWebサイトにECサイトレベルの仕組みやセキュリティ対策を用意するための予算を振り替えて、こういった図書館内のオンプレミス環境に投資したほうが図書館のためじゃないかと思ったのです。
しかもこれなら貸し出し管理のシステムは従来から利用しているシステムを手直しして活用することも出来そうです。
電子書籍の貸し出しに際して、未来永劫データが利用者のデバイスに残存する点について問題があれば、DRM管理のように期限付きの閲覧コンテンツとしてDLできるような電子書籍データ形式で用意すればいいのではないでしょうか?MicrosoftでいうところのRightsManagement技術ですね。電子書籍コンテンツ自身が閲覧/印刷などの制御データを保持して、期限が来れば閲覧不可やデータ消去といった機能を有するのでアプリの運用も必要ありません。(アプリで制御する運用の方が安く済む可能性もありますが)

こうなった時のメリットを解説します。

こうすると、図書館に行く人は、
・お目当ての書籍が図書館にあるかどうか
だけを知っていれば無駄足はなくなりますし、
・既にある蔵書を手に取って、気に入った・借りたい書籍をスマホにダウンロードして気軽に借りれる
という利便性が得られますし
DRM制御で貸出期間が終了した電子書籍は無効化
という保護も掛けられます。

現状でスタンダードと思われるECサイトのような貸し出しシステム運営よりよっぽど図書館に行く動機が発生します。なにせお目当ての書籍が貸し出し中で借りられない、ということは無いわけですから。
更に、既存の蔵書はそのまま図書館内で読みたい人向けに存在していることは価値がありますし、借りたい人が内容を確認するためにも書籍の形で存在する意義があります。よって今まで通り1冊は蔵書として用意されている、ということには意味があります。
さらに貸し出した書籍が"扱いの荒い利用者"によって破損・汚損される、というリスクも低減できます。なにしろ家に借りて帰る書籍は"電子データ"なのですから、記憶媒体である本(紙)の損壊を心配する必要はなくなります。

結局のところ感じている違和感は…

ここまでで何度も出てきましたが、図書館が民間のレンタルサービスと同じような作りのECサイト展開でしか、電子書籍貸し出しに乗り出していない、という点です。
いろいろな行政側のしがらみはあるだろうな、とは想像しています。
図書館の行政スタンスはあまり詳しく知りませんが、住民サービスという前提で話させてもらえれば、その地の住民かどうかをインターネットサイトにて認証させる必要性というのはあまり感じません。それなら図書館に行って、図書館内で市民カードやマイナンバーででも認証して、そのうえで貸し出しという行為ができれば十分に思えます。従来のバーコード管理でもOKだと思えます。要するにECサイト的な貸し出しシステムはリスクある機能がインターネット上に存在している点において図書館内インフラで認証するよりも数段リスクが高くなります。
セキュリティは非機能的な要件ですが昨今ではかなり重要なポイントです。
セキュリティを考えれば、「余分なデータは保持しない」か「イントラネット内だけで個人情報や機密データを取り扱う」という点が原則です。
インターネットに接続されるインフラが保持する情報は貸し出した電子書籍の一意なIDとその貸し出し期限である日付データだけがあれば制御としては十分な制御ができると考えられます。そこに個人情報は全く必要ないじゃないか、というのが私の感じることです。
でもECサイト的な貸し出しシステムでは個人を識別して認証することを要求し「図書館利用者IDで認証の後に書籍の閲覧が可能となる。」という仕組みがほとんどに見受けられます。

図書館の本質は民間が実施するようなECサイト的な運営サービスではなく、図書館の蔵書を住民として快適に利用できる=知識を提供する、目的のはずですので、私なんかは図書館の書籍が借りたいのなら図書館に行きますよ、と思ってしまいます。つまりECサイト的な貸し出しシステムに自分の個人情報を登録して、発行されたIDで認証して、電子書籍を選んでダウンロード…と、いうのはコレジャない感が強いです。

日本の欧米に電子図書館は遅れているというが…

イインデス!欧米は欧米だ、って考え方で。日本の携帯電話が独自で使いやすく進化したように日本の図書館も独自で日本人が素敵に思えるような進化をすればいいですし、そのための進化の余地と時間が残されている、と前向きに捉えていいんじゃいでしょうか?
電子図書館構想にしても「そんなこと言っても予算がないんだ!」という声はあると思いますし「そんな予算があるなら蔵書を充実したいんだ!」という声や想いも関係者であればお持ちのことと思います。図書館の方ってひたすら本が好きですものね。
ここで語っている内容は、せっかく図書館電子化という予算が組織内で用意されたにもかかわらず、民間のレンタルサービスの焼き直しそのまんまなサービス構造やITの運用の丸パクでせっかくの予算を使い切ってしまっている、というところが実にもったいないなぁという主旨です。
なので、もし運よく図書館電子化予算割り当てのチャンスが巡ってきたら、ぜひその時に考えて欲しい内容としてこの記事があります。

図書館、便利になるといいなぁ…。