treedown’s Report

システム管理者に巻き起こる様々な事象を読者の貴方へ報告するブログです。会社でも家庭でも"システム"に携わるすべての方の共感を目指しています。

PC選定に…私がThinkPadを愛用するようになったきっかけ

私がThinkPadという道具を愛用するようになったきっかけとその理由をご報告したいと思います。
今後不定期にThinkPadの良さを褒め、言語化、文章化する、という目的の記事を書いていくつもりになっています。

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パソコンを買おう、と思っていて選択肢としてThinkPadを購入しようか検討中の方や、フリーランス・個人事業主の方で現在のPCに不満がある方、といったPCの買い物目的の方に加えて、ThinkPadの良さを再認識したい方や、昔のThinkPadの良さを今一度文字で読み直してみたい(会話のネタとして受け売りの情報でも使いたい)という方にも、一度ご覧になっていただき何かの検討の一つに加えていただければ幸いです。(いや別に私は幸いではないか。)

 まずきっかけは、かれこれ10年以上前に当時勤めていた会社PCのリプレイスが発生したところから始まります。
当時のOSはWindows95/98がメインの多数派、一部の高級PCにWindows2000、Meは導入してすぐダメになったので在庫化している状況でした。
それまでは、国産PCメーカのブランドが混在する状況で、これをメーカを統一し、OSもWindows2000一本化、と統一した環境にすることがリプレイスの一要件となっていました。

調達方法は購入かリースかレンタルか、という部分で割れていたのですが、まずシステム部門の一エンジニアとして、各メーカの製品を調査してどのメーカPCで統一するかを決定する、という指示が出されたところでした。
販売代理店経由でいろいろ調べていたのですが、一部販売代理店はメーカの営業を連れてきたことがあってメーカの話を聞く機会が(いくつかのメーカで)あったのですが、あまり響かないメーカ営業が多かったのです。
自社製品を「まあ所詮そんなもんですよ。」と表現するメーカ営業。
あまり自社製品が好きでないのか自虐的なネタとしているのか、自社製品を多少小馬鹿にするような営業担当者もいました。
かと思えば、こちらの要件は一通り伝えたところで、「どんなPCなら買ってくれるんですか?」とこちらを質問攻めにするメーカ営業。
うーん、自社製品に自信があれば先に伝えた要件の一つ一つを自社製品ならこう満たせます、これが役に立ちます、という話を聞きたいんですけどね。あまり自社製品のことを知らないということなんでしょうか?
「うちの製品売れないんですよね…。」とさじを投げている営業担当者もいました。

そんな中に来訪したのがIBMの営業担当者です。当然ThinkPadを売り込んできました。
「弊社のThinkPadは、使う人のニーズを形にする、というコンセプトの設計です。」
ほうほう。それで?
「他社のラインアップでは基本仕様はどのモデルも共通で、CPUや液晶のサイズの違いで上位機種と下位機種に分かれますよね?これは分かりやすいのですが種類が多くてもコンセプトに違いがなく選択肢としては意外と多くありません。」
これを聞いて最初は、CTOの話?って思ったのです。この辺の話を聞いているところでは確か半信半疑、話半分でした。
IBMの営業担当者は笑顔で話を続けました。
「いえ、CTOの話より大枠の話です(笑)PCを購入されると、必要なものが足りなかったり不要なものが付いてきたり、ということが多いですよね。弊社のThinkPadは部品の違いで区別せず、ユーザ思考に合わせて製品ラインナップを構成しています。
例えばモバイルユーザ同士でもモバイルPCに求める機能には差がありますよね?デスクトップの代替でモバイルしたいユーザと、とにかく小さいモビリティ重視でモバイルしたいユーザでは要求している"モバイル"性能が違うわけです。
究極を言えば、持ち運び重視なのにデスクトップと同様の機能が必要というハイエンドユーザも存在しています。このユーザニーズに応えるために、製品コンセプト別に製品を分けているのが弊社のThinkPadなのです。」
―――以下、製品説明が入る。
ここまで聞いて、なるほど、と思ったものです。
確かに当時の私はCPUが何MHzとかメモリが何MB搭載しているとか、そういった数値=スペックを追いかける選定をしていました。
でもこのIBMの営業担当者は"スペックだけで仕事は出来ないよね?大事なのはユーザの利用するシチュエーションが機能・性能に合致するかだよね?"という話をしてくるのです。
他社のような延々と続くスペック説明やよく分からない身内受けする自虐ネタばかりを応対してきた担当者である私にはかなり新鮮で興味を引き付けられる話になりました。

昔もこんなことあったなぁ…。と、これを思い出しました。

treedown.hatenablog.jp

以前に要件になかった機能が不足していて、揉めた話を思い出しつつ…。

 

ここまでの話、共感はできるんですけど、やっぱり他社と比べて高い、という点が二の足を踏むポイントなのですよね。
これはIBMの営業担当者としても心得た話のようで、
「我々のThinkPadという製品は、他社と比較すると価格は確かに高くなります。
販売価格で勝負は出来ません。
たとえば、トーチャーテスト、はご存知です?(トーチャーテスト=拷問テストです。)
ThinkPadには他社では実施しないレベルの特殊な負荷テストを実施しています。
これによって、他社の安価なモバイルでは満員電車に耐えられない環境でも、弊社のモバイルPCであれば耐えられる自信があります。
我々はThinkPadにそれだけの自信を持って市場に送り出しています。」
ここで一息ついて、さらに続きます。
「価格の話でいえば、ThinkPadは一概に値段が高いから上位機種、下位機種だから安く調達できる、というわけではありません。
御社の業務がPCで何をしようとしているのか、何をしたいのか、を見つめ直すことが重要です。
ただし、個々の機能の有無を気にすることはなくて、購入時に機能の有無は選べますし、購入してからもさまざまな周辺機器の選択肢を拡張するバス・コネクタがあります(ドッキングステーションなどを指しているのかな?)ので、これらを利用して後からでも機能を拡張することはできます。
なので、基本的なコンセプトからモデルを選択していただきまして、必要とする機能をオプションで追加する、という考え方で導入を検討なさってはいかがでしょうか?
ThinkPadなら大丈夫ですよ。」

と、ユーザ志向な話(正確にはエンドユーザ志向ですね、実際にPCを使う人視点なので)を聞き終えたところで、なるほど、と思えるほどに腹に落ちる考え方でした。
確かに、価格は重要ですしカタログスペックも重要な要素ではあります。が、この当時の私は実際にユーザがどのように使うか、を購入時に考慮することはあまりありませんでした。(実際に使い始めてからの相談でアレコレと考えることはよくありましたが。)

いちばん響いた、10年以上たっても記憶に残っているのは、
どのメーカの営業よりも「自社製品であるThinkPadに対する愛情がこもった説明」だった、と感じたのが今でも記憶に残っています。
営業担当者が自社を貶めるような自虐ネタも言いませんし、自社の製品が「新製品だからまだよく分からないんですよね~」などと軽いノリで知らないことをごまかす、ということが一切ありません。
さらに、製品の弱点である、他社の製品と比較して価格が高い、という点もごまかさず名言している点、好感が持てました。加えて、その販売価格が高いという弱点は「しっかりとした堅牢な製品を作るバリューのトレードオフであること。」の点について、明確に説明を受けたことに差額の価値が納得できたものです。
まさに、この製品を使ってほしい、の一心でThinkPadという道具で何を提供するか、という説明が徹底した話でした。

実際にメーカの営業として我々ユーザ企業の目の前で会話する担当者が、
・自社製品に詳しくない。(製品について「知らない」と言う。)
・自虐ネタとはいえ自社の(製品の)悪口を言う。
・あまつさえ「どうすれば買ってくれるんですか?」という逆質問。
よりも、
・自社製品に詳しい、自社製品のことを聞かれれば答えられる。
・自社製品に愛情があふれている。弱みも強みも含めて提供できる価値を説明できる。
どっちを購入しようか、という気になるかと言えば、これは後者だと思うのです。
実際にそれまで、自分の中ではPC選定時にPCがどうして生まれたのか?を意識したことは無かったのですが、この体験で一気に考え方が変わりました。

これ以降、私はPCに対して、
・あくまでも道具であるということ。
・ただし使う人のことを考えた道具、とそうでない道具がある、ということ
・使う人である自分、に合う道具という考え方でPCを選ぶと意外と選択肢は多くない、こと
を再認識するようになりました。

※最後に、ちょっと気を付けて欲しい点
ただし、この話はあくまでも10年以上前の、「IBM ThinkPad」時代の話であります。
現在はご存知のように「Lenovo ThinkPad」ですし、当時はビジネス一辺倒だったThinkPadという製品も、現状ではコンシューマーをかなり意識した製品開発へ裾野が広がってきている状況ですので、当時と現在では違う状況にあることはお知りおきください。
ただ、このLenovo ThinkPadでもいくつかのシリーズはありまして、“Classic ThinkPad”と呼ばれているシリーズが以前からのコンセプトに合致しているようです。
つまりClassicじゃないほうのThinkPadは新しい考え方、新しい体制かもしれませんしそうではないかもしれない、というわけです。
なお、Classicには「従来から継続している」という意味が込められているそうです。
Classicに属するシリーズはThinkPad T、ThinkPad X、ThinkPad Wが該当するそうですが、他のシリーズはClassicからは外れるようです。

本ブログの記事で以後もThinkPadと言えば、これらの
“Classic ThinkPad
を指している、とお考えください。