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treedown’s Report

システム管理者に巻き起こる様々な事象を読者の貴方へ報告するブログです。会社でも家庭でも"システム"に携わるすべての方の共感を目指しています。

PCに要求されるスペックはソフトやCPU・メモリ・HDDだけじゃなかった話

本日はシステム管理者昔話です。

ある日、営業がシステム部門に怒鳴り込んできました。
「このPCなんなんですか!現場で使えないって怒っていますよ!」
この営業、若いのになかなかの勢いで噛みついてきます。
その苦情、システム部門長が応対します。

と、いうのもこのPCはシステム部門長が自ら選定して適用したPCなのです。

ちょっと、話の経緯をあらすじとして書きますね。

 ある日、取引先でネットワーク関連の出向業務を請けることになりました。でその取引先の担当営業が怒鳴り込んで来た彼なのです。
で、その業務を遂行するためにPCは請け元で用意してね、というのが取引条件に含まれていたそうです。よってPCが必要になりました、というのがきっかけです。
その業務に貸し出せそうな台数の社内PCの在庫は足りない状況だし、なにより出向先で使うためのPCはスペックがある程度要求されていて今の社内PCではそもそもスペックが低い、ある程度安価なPCを複数台(人数に合わせて)購入し、出向先で使うようにしよう、という話で営業部門とシステム部門では話がまとまりました。

社内PCは事務作業だから、3年とか5年の型落ちPCでも当時は通用していたんですよね。でも出向先の業務内容はあまり詳しく教えてもらえないらしく、型落ちPCで足りるかどうか、という部分は判断つきかねた面はあります。
PCをそれ用に購入して、出向業務が完了したら社内PCに転用する、という話で稟議は承認を得たらしいです。
ここまでは私本人も妥当な線だと思っていました。なにせ交換してあげたいユーザの低スペックPCがいくつかあったけど、PCの購入やリプレイスは予算が付かない状況もあったので、ちょうどいい話かなと思ったものです。

こうして社内調整を済ませたシステム部門長は当時、別の商談で付き合っていたPCメーカの営業経由である程度安価に見繕ってもらって、PCを調達し、システム部門では初期キッティングを実施して営業側に引き渡しました。

営業から実際に現場で業務をするエンジニアにPCが行き渡ってから、しばらく経って現場エンジニアから「このPCでは業務遂行は出来ない。本社は常識がないのか?」と営業に強いクレームが入った、ということが発端で営業が怒鳴り込んできたらしいのです。

その怒りが営業の次のセリフに凝縮されていました。
「シリアルポートがないPC、なんて業務遂行できるわけないでしょうが。常識無いんですか?」
この営業担当者、若いのになかなかの暴言です。
システム部門長は大人の対応です。
「いや、"シリアルポートが必要"という要件はそちらでは出していなかったよね?CPUとメモリ、OSの種類とOfficeがインストールされていること、という要件しかこちらに言ってなかったじゃないか。」
システム部門長が大人の対応をすれば、営業は引きません。
「シリアルポートがPCに付属しているのは常識でしょう。だって会社内の他のPCにはすべて付属しているじゃないですか!」
うーん。確かに付属しているけどね。シリアルポート。ただし付属している理由は旧式PCだからだ。そして客先のPCに付属していないのはレガシポートを廃止するくらい新しいPCだからだ。
こちらの心の声を知ってか知らずか営業の発言は止まりませんよ。
「どうするんですか?全部使えないPCですよ。」
同じ型式のPCを人数分購入したので、確かにシリアルポートが使えない、ということは事実としてあるけど、それはシリアルポートを使う業務にそのPCが使えない、ということを意味しているのであって、他の業務では影響ないよね?ってのは傍で聞いていて思ったことです。だけど、営業としては現場のエンジニアから「このPCは使えないじゃないか!」と強く言われてしまうと、全てにおいて"使えないPC"という判断をしてしまって(刷り込まれたのかもしれない)、徐々に暴言じみてきた。
トドメをさしてしまったのは、この発言。
「しばらく待つようにエンジニアに伝えますから、全台買い直ししてください。」
おい、営業?と言いたくなるような発言ですよね?
これを聞いたシステム部門長が
「おい、オマエ―――。」
聞こえるか聞こえないかくらいの声量でこう切り出した。このセリフ、この言い方は怒ったときのスイッチだ。再びシステム部門長の口が開く。
「全台買い直しって、どっからそんな予算出すんだ?そもそもキミらが聞き取り不十分でOfficeさえ使えればいいです、とバカみたい単機能の要件を繰り返していたのが原因だろうが。」
あーあ、怒らせちゃった。当然だけど。
「よ、予算は売り上げから出しますよ!」
営業はちょっと萎縮したように見えたが、言葉を振り絞ってこう反論した(ように見えた。)
「あのなぁ、全台買い直しって…どれくらい費用掛かっているか知ってるのか?
PC買って、うちの部下が初期インストールやら設定やら実行して…。
その費用、全部売り上げから賄えるのか?
そもそもオマエ、勝手に売り上げの利益食いつぶすような判断していいのかよ。いつからオマエそんな権限持つようになったんだ?
ホントやるのか?オマエ。」
何をおっぱじめるんだか(笑)システム部門長は怖いのです。

営業はシリアルポートの意味を知らない、というかシリアルポートが何かすら知らない、というのがまず"すれ違い"の始まりでした。
これがシリアルポート。

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現場のエンジニアに言われたことをそのまま受け取って、ダイレクトに届けてしまったようなのです。
現場のエンジニアからすれば、ネットワークのconfig作業にシリアルコンソールが使えないというのは、何かの拷問か?と思うのはまあ分からなくもないです。
でもこれを事前に伝えていない以上、これを調達時には気に掛けないというシステム部門長も間違っていないです。だって、要件にシリアルポートが無いんですから。
いざ蓋を開けると、現場のエンジニアはシリアルポートがなくて営業担当者をなじってしまったんですかね?もしくはシリアルポートがあるのは常識、という吹き込みをしてしまったんでしょうか?
営業担当者は「シリアルポートはあって当然、ないのが非常識」という言葉に振り回されて「大義は我にあり」とばかりシステム部門長に食って掛かってしまいました。

システム部門長に凄まれると、多少営業担当者の感情はおさまってきたようです。
「じゃ、じゃあ、どうすればいいんですか?」
傍観者の視点からみても、ビビってるな、というのが見て取れました。
もう、怒りも冷めてきたようです。

おもむろにシステム部門長が
「おい、TD(私の名前)。」
私の名前を呼びました。
私は、
「はい。」
と返事して起立。(怖いからね。)
部門長が質問します。
「どうすればいいんだよ?」
来ました。解決策を提示しなくてはいけません。
戦場への赤紙を受け取った気分です。
今できることは…
「在庫のPCからシリアルポートを使えるPCを1台用意することはできます。
シリアルポートを要する仕事だけその低スペックのPCを使うのはどうでしょうか?」
シリアルポートに限定すればPCは捻出できなくもない。シリアルコンソール専用PCを1台その業務に充てれば現場の怒りも多少和らぎませんかね。
怒ってはいますが、システム部門長は、
「これで用意してやってもいい。」
と、手短に営業に救いの手を差しのべました。続けて、
「もしくは、これ買って来いよ。」
みれば、提示した情報は、USBtoシリアル変換ケーブル、です。USBをシリアルポートに変換するヤツです。
「どっちにするんだ?好きな方選べよ。」
システム部門長の最後通告に見えました。
営業担当者は何か閃いたように、
「今から買ってきます!どこに売っていますか?」
家電量販店なら売っているんじゃないか?という発言を聞いた営業担当者は
「いまから走って行ってきます。ありがとうございます。」
足早に部屋を出て購入に出ていきました。

…。
「あの~…。」
私が恐る恐るシステム部門長に切り出します。
「パソコンは結局用意しなくていいんでしょうか?」
システム部門長の怒りはまだ収まっていませんでしたが、努めて冷静に
「ほっといていいんじゃない?なにかあればまたくるだろうよ。アイツ。」
ですよね。

でもこれには後日談があります。

またあの営業担当者がシステム部門に来訪しました。
実はこの前に、営業担当者がUSBがよくわからなかったらしく、このケーブルどこに付けるんですか?と、わざわざ現物携えて質問しに来たのはご愛敬。
さすがにシステム部門長も呆れて、USBポートと差込口を教えていました。
2回目の訪問の用件は…
「この間の変換ケーブルで概ねどうにかなったのですが…、一部通信できない機器があるみたいで相談に参りました。」
前回の反省を踏まえて、かなり丁寧に申し出てくるようになりました。
前回購入した変換ケーブルでもうまく行かない、と現場のエンジニアが主張しているらしいのです。これでもダメだったのか…?
「おい、TD(私の名前)。」
またシステム部門長に呼ばれました。
システム部門長はバツが悪そうに、
「やっぱシリアルポート内蔵のPC一台用意してくれる?」
もうめんどくさくなってしまったんでしょうね。私の返事は
「はい、喜んで。」
ある居酒屋を彷彿とさせる、二つ返事をしておきました。

結局PC準備するのね。
あとあと思えば、シリアル端子部のオスメスが合わない、ないしシリアルケーブルのクロスとストレートを取り違えていて通信できなかっただけじゃないか?と思うのですが、その時は頭になく、早くこれが終わってほしかったので言われるままPCを準備しました。

PCはあくまで道具です。
ただPCは他の文房具と違ってマルチな道具だけに、あれこれと機能を多数搭載しています。
道具に必要な機能は何か、ということを業務を主眼に置いて道具を選ばなければ、このように無用な争いを生んでしまうこともある、ということですね。

PCを選定・購入される際には、道具にどんな機能が必要か/期待されているか、よくよくお考えの上行動に起こされることをお勧めします。