treedown’s Report

システム管理者に巻き起こる様々な事象を読者の貴方へ報告するブログです。会社でも家庭でも"システム"に携わるすべての方の共感を目指しています。

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ThinkCentre S50マザー取り出し~電解コンデンサ不良を探る

今日はPC故障についてのご報告です。

契約先から入電。2台のPCで問題が発生したとのことです。

  • 1台目は、PCを起動後使っているとフリーズ=ハングアップが頻発する
  • 2台目は、PCが起動しなくなった

という連絡を受けました。
両方とも対象PCはThinkCentre S50、モデル番号は8086-2HJというかなりの年期もののデスクトップPCです。
このPCにはSAでWindows7 Enterpriseをインストールして普段は利用されています。

さっそく(といっても数日後ですが)現地で確認しました。

まず1台目のPC、電源を入れます。
ファン(CPU Funも電源Funも)が勢いよく、知る限り全力で回転します。
そしてこのままファン以外が動きません。しかもファンは止まりません。
通常であればこの後にファンの回転が収まりBIOSが起動⇒OSの起動へとブートプロセスが遷移していくところなのですが、故障しているためBIOSが起動してきません。
そしてファンは勢いよく回転しているがただただそれだけ。

2台目はOS起動後、放っておくと、いつの間にかフリーズしていました。
調べたところではブルースクリーンはないようです、Windows起動時のメッセージに「予期しないシャットダウン」、となっていたのでフリーズして電源ボタン長押しで電源断を実施したように見受けられます。

よーし、やってみようか。
パソコン整備士協会所属が伊達ではないところ、いまこそが腕の見せ所です。

まずはマザーボードを筐体から取り外します。
手順は同様ですが、写真はPC2の写真を使っています。

まずはPCを開けてみましょう。

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ふーむ、やっぱり昔のThinkCentreは他メーカーより扱いやすくて分かりやすいですね。
ここからコネクタを外していきます。

  1. IDESATA
  2. 電源1
  3. 電源2
  4. 電源3
  5. 後部ファン
  6. 前部ファン
  7. スピーカ電源
  8. サウンドカードっぽいの

※各々の外した場所を備忘録代わりに記録しておきます。
※四角囲みがコネクタ、丸囲みはネジ(一部下に隠れている)です。
※図示していませんがついでにBIOS電池も外しておきましょう。

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配線を外したところでマザーボードとにらめっこです。
コンデンサが1つ故障しているような兆候があります。

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細かくて見えないのでちょっと拡大してみます。

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これかな…?
原因と思われるコンデンサは他の正常なコンデンサと比較して頂点が膨らんで、頂点に茶色の汚れが見えるので、コンデンサが膨張し破裂後に液漏れしている、という状態のようです。
これを交換します。
調べてみると、以下のコンデンサのようです。

とりあえずハンダを作業するためにPCシャーシからマザーボードを引き出します。
このタイミングではネジ外しや部品外しで破損しないように注意です。
プラグやネジが外れていれば、筐体の後方、シリアルポート付近にあるレバーを使って後ろに引っ張り出してやるとマザーボードだけが取り出せます。

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このマザーだけの状態にしてから作業開始です。
さっそくハンダを裏から外します。ハンダごてで作業など何年ぶりでしょうか?工業高校卒なので実習では定期的にやってはいましたが、遠い昔です。

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取れました。
ハンダ吸い取り線などを使ってハンダを外して他に痛めないように、うまいことコンデンサを取り外します。
このタイミングの注意事項としては、電子回路は無鉛はんだが使われていることが多いので(私が昔学生のとき実習で使っていたのは鉛はんだ)ハンダがなかなか溶けなくて難儀しました。
部品を取り外したあと、残存したハンダで穴が埋まってしまうので注意が必要です。
穴に残ったハンダもどうにかして掃除して、新しいコンデンサのジャンパピンが通るようにしたら、新しいコンデンサを表から差しこんでハンダ付けをします。

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イモハンダにご注意ください。私もちょっと微妙な出来になっているかもしれませんが。

表面の写真です、コンデンサを新しくした関係で、コンデンサが大きくなってしまいました。(同じ規格のコンデンサなのですが、ちょっとサイズが大きいようです。)

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これで、PCを起動してみます。
起動しなくなっていたらヘコむなぁ。

恐る恐る電源を入れ、Windows7の起動が確認できました。

さて問題は、フリーズです。フリーズしないものか、簡単にPCに負荷が掛かることをやってみます。

  • Windows Update…数は少なかったのですがCPU自体は(ロースペックなこともあって)適用中CPU使用率100%を乗り切って正常終了できました。
  • ウィルスチェック…MSのEndPoint Protectionが導入されているのですが、クイックスキャン、続けてフルスキャンを実行し、CPUの使用量も80%程度を1時間稼働しましたが、フリーズすることなく正常終了しました。

これはもう修理完了といってもいいよね?と自分に言い聞かせて、あとは経過観察とすることにします。

あ、そうそう。
もう一台の「PCが起動しなくなった」PC1台目については、破裂(らしき)膨張コンデンサが多すぎて、まだ修復できていません。
パッと見、膨張コンデンサは5つあり、すぐには対処できそうにないので、後回しになりました。(時間のある時にやろう。)

もし、はんだ付けに自信が無くてコンデンサ交換をためらっている方、いらっしゃいましたら、
「安心してください。私のような工業高校の実習でしかやってないようなレベルでも、コンデンサ交換ならできますよ。」
と言えます。
ダメ元で済むような環境であれば、一度やってみてはいかがでしょうか?