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treedown’s Report

システム管理者に巻き起こる様々な事象を読者の貴方へ報告するブログです。会社でも家庭でも"システム"に携わるすべての方の共感を目指しています。

アカデミック版についての知識、購入前にちょっと知っておいて欲しいこと

今日はAdobeアカデミックライセンスについて質問されましたので、ご報告します。

最初に結論をバラシてしまいますが、最終的には
アカデミック版を購入するより「クラウド版」と呼ばれる月額課金版の購入をお勧め
と、いう内容になります。その理由はアカデミック版の制限事項にあります。

Q:
Adobe製品のアカデミックライセンスを購入して使いたいのですが可能ですか?
(どこのどなたがこの質問をしたか、はご想像にお任せします。)

A:
アカデミックライセンス、は世の中に提示されている製品で以下の利用条件下において格安で利用できる製品です。

もともと私の知識では、アカデミックパック(アカデミックライセンス)って学校(のような)教育機関やその教職員、及び児童・生徒・学生を対象として、格安の価格で提供されるソフトウェアパッケージの事、ぐらいの認識しかなかったのですが、今回調べてみて、細かな条件があることと、かなりメーカによって差があるということが分かりました。
(たとえばMicrosoftAdobeでも結構違うのです。)
また、原則として転売・譲渡は許可されない(はず)です。なので個人で購入したソフトウェアを会社に譲渡手続きする、という移転はできないため法人での購入時には必ず製品パッケージやライセンス版を購入するようにされたほうがよいです。

ここから具体的な例として、社員が条件を満たしてアカデミックAdobe製品を購入した、と仮定してその利用方法を例にしてアカデミック版にある制限についてOKの場合とNGの場合を例示してみます。

条件1)個人(ここでいう1社員)に対してのみ使用権が割り当てられます。
例:

  • 社員が買ってきたアカデミックAdobe製品をその社員だけが使う=OKです。
  • 社内PCどれか1台に入っているアカデミックAdobe製品を会社内の何人かで利用する=NGです

つまり、パッケージ(ライセンス)を○万○千円で購入したAdobe製品を使うのは誰か、をはっきり決めないといけないってことですね。

条件2) 条件1を踏まえて(ちょっと似ていますが)、アカデミックAdobe製品をインストールしてよいPCは個人所有のPCです。
例:

  • 社員のノートPCにアカデミックAdobe製品をインストールする=OKです。
  • 社内のデスクトップPCとか社員本人が利用している社内PCへインストール=NGです。
  • 学校の教員が購入したアカデミック版を学校のPCにインストール=意外でしたがこれもNGです。

つまり、所有者が学校や会社のように法人格が所有権を持っている(名義)であるPCにインストールするとライセンスの違反になってしまいます。
では社員が会社用に持ち込んだPCは個人のPCだと言えなくもないように思えます。これはインストール自体は違反でないと言えそうです。Adobeアカデミック版に限って言えば使用許諾条件の範囲内で商用利用が可能とされています。

※製品別使用許諾はAdobeのHPに「製品ライセンスおよび利用条件」<http://www.adobe.com/jp/legal/licenses-terms.html>がありますので、ここで利用する個別製品について使用許諾条件が確認可能です。

ただし、当然のことながら、そのPCを借用して複数ユーザの方がAdobe製品を実行するのは違反になってしまいます。

この2つの条件、具体的にいうと…

  • 1台にインストールしたAdobe製品を、PCユーザ複数名が実行する
  • インストールするPCは会社所有PCでAdobe製品を利用する

といった使い方をするには、安価なアカデミック版Adobe製品は利用できず、投資額を増やして製品パッケージかライセンスを購入することで「法人所有のデバイスに対するライセンス=使用許諾を入手する」という購入方法が必要なのです。これなら上記の2条件に縛られることなくAdobe製品が利用できる、ということです。

つまり、会社が主導でアカデミック版を積極的に利用することはできない、ということです。会社員がスクールに登録して学生としてアカデミック版を社用で使用する、ということも使用許諾条件を遵守するという考え方の前ではライセンス違反と解釈してよさそうです。

この辺りは、技術的に制約を掛けていない、という点で多くの経営者・管理職の方が誤解しがちです。アクティベーションできればどのように使ってもいい、という考え方をされている方が多く見受けられます。
技術的に制約があるかないか、に関わらず、「使用許諾条件に沿ってご自身が(会社が)購入した製品を使う」というのがソフトウェア製品を購入する際のお約束であり、そもそも購入のスコープ外にある製品を購入して錯誤を主張するのは誤り、という認識をお持ちになった方がよろしいかと思います。

ちなみに、
「オンライン講座などで購入するアカデミックAdobe製品は、商用利用してもよい」です。
例:

  • 個人PCの利用が認められている会社にPCを持ち込んで社内業務に利用する=OKです。
  • 個人事業主が顧客のためにコンテンツをアカデミックAdobe製品で制作する=OKです。

Adobeアカデミック版製品はMicrosoftの開発ソフトウェア製品と違ってアカデミック版で商用利用・業務利用が禁止されていないためです。
なお、Microsoft製品のアカデミック版は商用利用(お金儲け)を禁止しています。(※エディションにStudentと付く製品もアカデミック版と同様に商用利用NGです。)
例えば有名どころではOfficeです。
アカデミック版を購入して学生時代にOffice文書を学業に使用していた方が卒業後Officeが使えないか?と言えばそのままOfficeを使用してもよい、ことになっています。そのOffice(Excel)で家計簿をつける、という使い方はOKということです。
しかしその学生さんは、就職後に会社のドキュメント編集を家に持ち帰ってアカデミック版Officeで実施するとライセンス違反です。(最近では会社のデータ持ち帰りは出来ないところも多いですが)
この学生が独立開業し個人事業主になってOfficeアカデミック版を使おうとした場合も同様にライセンス違反となってしまいます。
個人事業主は個人ですが個人事業は個人利用・私的利用の範囲外となり商用利用に該当するとされています。故にMicrosoft製品のアカデミック版Officeを用いて仕事するのはライセンス違反と使用許諾条件に定められています。
営利活動にMicrosoftOfficeのアカデミック版を使用するのは明確にNGとされているということです。

文章内にちょっとづつ出てきていますが、アカデミック版をインストールするデバイス(PC)に制限があることもアカデミック版の使いにくさの理由の一つです。
つまり法人保有のPCにはインストールできない、と定めた使用許諾条件が多いです。あくまで購入するのが個人なら、インストールするPCも個人所有のPCでなければならない、ということです。

例えば、自分でPCを購入して同時にAdobeCreativeSuite5.5(CS6無償アップグレードのおまけつき)を購入しました。
あくまでAdobeの利用者としては一個人であり、他の人間は利用しませんしPC本体は自身の所有物(法人のものでない個人のもの)なので上述(前出)の条件1と条件2をクリアしています。そしてこのAdobe製品がアカデミック版だろうがパッケージ版だろうが、個人事業として請け負っているコンテンツ作成をして対価を受け取っても何ら使用許諾条件に触れることはないというわけです。
この購入したAdobeCSの部分をOfficeアカデミック版に置き換えると、これは明確にライセンス違反となります。

なんで、こんなメンドクサイ取り決めや制限を設けてまでアカデミック版を販売しているのかちょっと調べてみました。

Adobe(に限らずアカデミック版を出しているソフトウェアメーカ)の意図は、ソフトウェアを安価で学生・生徒や学校等に提供する事によって、これらの学生が卒業してからも長期的にソフトウェアを使用してくれることを見込んで安価に提供してるようです。(要するに囲い込みってやつです。)
学校において、授業等で学習に使用するソフトウェアは、(コンピュータ専門学校卒の視点からしても)学生・生徒にとってはそのソフトウェアの「使い方の学習」になりますので、「学校において利用したソフトウェア=メイン利用する頻度の高いソフトフェア」となります。(だから専門学校卒は大卒よりITでは即戦力になりやすいが、大卒は勉強ができるので入社してから伸びる、と言われています、)
そのため、結果として若い世代が早いうちからソフトウェアに慣れ親しむうえに、学生・生徒が個人で購入し、自宅のコンピュータにソフトウェアをインストールすれば、授業中の課題などで作成したデータを持ち帰って再編集したり、あるいは就職後に学生時代作成していた作品や文書等を再利用したりするなど、様々な活用の場が広がります。
教職員が利用する場合にも、自身のコンピュータにインストールし、教材研究に活用してもらうことで、ひいては学生・生徒のソフトウェア利用の促進に繋がると考える側面もあります。

アカデミックパッケージが用意されている事は、これら長期的な顧客として見込める人達がソフトウェアを購入する際、金銭的負担が軽減されるので入口となる購入がしやすくなる。ということはAdobe製品の普及に繋がると考えられています。

しかしこれらの考え方は、”教育機関等が行う活動は基本的に営利を目的としたものではない”という前提の上に成り立っています。
営利を目的としたものではない教育活動に対してソフトウェアの出費を抑える目的のアカデミックパッケージをサービスとして用意しているわけですが、法人は株式会社である以上、営利を目的とした株式会社に分類されてしまい、この前提に乗っかることができないのです。

最近ではAdobe製品もOffice製品も「クラウド版」と称した月額課金版を積極的に推進しています。
いまならこのような感じです。

  • Office個人⇒Office 365 Solo
  • Office法人(小規模)⇒Office 365 Business(Accessはないけど)
  • Office法人(中規模以上)⇒Office 365 Enterprise(E3など)
  • AdobeCC個人⇒Creative Cloud 単体プランかコンプリートプラン
  • AdobeCC法人⇒Creative Cloud グループ版のコンプリートおよび単体プラン

アカデミック版と違って個人には個人事業主も含まれていますので、いずれも商用利用が可能です。
※Office365 Soloが商用利用可能なのは日本だけの独自ルールらしい、と方々で宣伝されています。外国のOffice365 Soloはアカデミック版と同様に事業の用に供してはいけないことになっていて、事業の用に供するのであれば企業版(Office 365 Business/Enterprise)を用意しなければならないことになっています。

アカデミック版を購入するのであれば、こちらの月額課金版を購入された方が(近年では)メリットが大きくお勧めです。
自己投資でも法人で必要に迫られて購入するにしても、どうせ製品利用のためにお金を払うのであれば、ライセンス違反になるかどうかを気にしながら使うより、大手を振って使える製品を購入するほうがはるかにお勧めです。
また、使わなくなったらHDDの肥やしとならず、契約解除してアンインストール、また使いたくなったら契約してインストール、という利用方法によって、契約時の最新版が利用できる(バージョンアップでまとまったお金を用意しなくてよい)という考え方もできます。(この場合でも最低利用期間は注意が必要です。)
しかも、使うときはWindows/Macの両方で利用できることが大きいです。契約期間中は自分が利用するために保有する複数の環境に(使用許諾の範囲内で)インストールできるのが大きいメリットです。
会社でいえば、10万円(高くて20万円)を超えるCreativeSuite製品を無形固定資産として保有しなくてよい(BS上に影響しない)、という点も1つのメリットとしてあります。

個人の意見としては長期的利用であればライセンス版を購入したほうがトータルコストは安価だと思っています(※)が、(メーカーが流行らせたいという意味での)流行りもの製品には優遇が付随するという面は見逃せないメリットも多くあり、大体はメーカーの優遇に乗っかったほうが企業にとってのメリットは多いことが傾向としてあります。いまなら月額課金版を選択するほうが多くの人にはメリットが多そうです。

(※)例えばOffice製品などはいったん購入すれば延長サポートフェーズ終了まで使い切るユーザの方が多いので、買い切り/使い切りの方が支払い金額自体は少なくて済む傾向が多いです。特に小規模企業ではこの傾向が強いように感じます。中規模以上となると、Office製品と組み合わせてシステムを用意している場合があり、その業務システムの都合でOfficeのバージョンアップが必要となるケースがあるので一概には判断付きかねます。

■ 付記:情報元