treedown’s Report

システム管理者に巻き起こる様々な事象を読者の貴方へ報告するブログです。会社でも家庭でも"システム"に携わるすべての方の共感を目指しています。

※https化しました。その影響でしばらくリンク切れなどがあるかもしれませんが徐々に修正していきます。 リンク切れなどのお気づきの点がございましたらコメントなどでご指摘いただけますと助かります。

ThinkVantage Password Managerが起動しない

ThinkPad T420sでWindows8.1Proを使っている環境で発生した事象をご報告します。
注)本記事はメーカーサポート範囲外の内容の記述が含まれていることがあります。当方ではメーカーサポート範囲外の動作を保証するものでもなければ何かを推奨するものでもありません。あくまでこうしたらエラーが解消したという一例としてご覧ください。

使っている環境は
ThinkPad T420s/Windows8.1updateでWindows8Proをパッケージからクリーンインストールしたものを8.1Update適用したものです。
症状は、ThinkVantage Password Manager(起動時に常駐する)が、メッセージなしで動作を停止してしまう、という症状です。
細かな動作では。。。
OS起動時⇒常駐=正常終了
パスワード認証時、パスワード入力を促される⇒パスワードを入力⇒サービス停止(動作停止)
パスワードマネージャのデータ編集やエクスポートを実行するためのメニューウィンドウの起動⇒パスワードを入力⇒動作停止

動作停止、とあるところはエラーメッセージも出さず、無言で常駐しているアイコンが消えます。
業務のメイン環境で重用しているアプリケーションなので困ってしまいました。

エラーメッセージが表示されないので、手掛かりが全くない状況ですから、こういうときはイベントビューアを確認します。
イベントビューア-アプリケーションログには以下のような2つのエラーが記録されていました。
-------メッセージ1---------------------------------------
ソース:.NET Runtime
イベントID:1026
レベル:エラー
タスクのカテゴリ:なし
キーワード:クラシック
メッセージ:
アプリケーション:password_manager.exe
フレームワークのバージョン:v4.0.30319
説明: ハンドルされない例外のため、プロセスが中止されました。
例外情報:例外コード c0000005、例外アドレス 00007FF904B81040

-------メッセージ2---------------------------------------
ソース:Application Error
イベントID:1000
レベル:エラー
タスクのカテゴリ:(100)
キーワード:クラシック
メッセージ:
障害が発生しているアプリケーション名: password_manager.exe、バージョン: 4.70.5.0、タイム スタンプ: 0x5514cc1b
障害が発生しているモジュール名: igdumd64.dll_unloaded、バージョン: 9.17.10.4229、タイム スタンプ: 0x55653fb3
例外コード: 0xc0000005
障害オフセット: 0x0000000000001040
障害が発生しているプロセス ID: 0x1e10
障害が発生しているアプリケーションの開始時刻: 0x01d0bc8c0aff7234
障害が発生しているアプリケーション パス: C:\Program Files\lenovo\Password Manager\password_manager.exe
障害が発生しているモジュール パス: igdumd64.dll
レポート ID: b8f6a09c-2886-11e5-bffa-0050b66d4ab8
障害が発生しているパッケージの完全な名前:
障害が発生しているパッケージに関連するアプリケーション ID:

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最近の変更点は何か?
トラブルシューティングの基本はやっぱり障害発生前から障害発生時の直前に行われた変更は何か?ということを探し出すことです。
直前の変更点は何か探ってみたところWindowsUpdateが動作していたことが分かりました。
「コントロール パネル\すべてのコントロール パネル項目\Windows Update\更新履歴の表示」からWindowsUpdateで何が適用されたか確認しました。
以下のアップデートが適用されてから発生していることが分かりました。
Intel Corporation driver update for Intel(R) HD Graphics 3000」
この時点で、
インテル(R) HD グラフィックス・ドライバー」はバージョン「9.17.10.4229」にアップデートされていました。
WindowsUpdateでドライバが適用された際にはトラブルが良く起きることが多いですよね。(メーカーサイトからDLして手動で適用する方がトラブルは少ないです。)

ThinkPad T420sは「Intel HD Graphics 3000」と「NVIDIA NVS 4200M」の自動切り替え(Optimus)で動作するモデルです。
以前にタスクバーに省電力マネージャーのバッテリー表示を常駐させていた時、explorer.exeが頻繁に動作を停止(イベントビューアにはエラーが記録される)しており、その時の一時しのぎの対処方法としてOptimusテクノロジーを使わないようにすることで抑制したのを思い出しました。
(その後タスクバー常駐を止めコントロールパネルから設定だけできるようにして抑制できることが検証できたので、UEFIBIOS)設定はもとに戻し現在に至っています。)

再度UEFIBIOS)を表示させ該当の場所を変更してみます。
以下UEFIBIOS)画面、※UEFIBIOS)画面はIntelAMTのManageabillty Commander Toolで表示させてキャプチャしていますので実際の画面表示と多少異なるかもしれません。

UEFIBIOS)を開いてからconfig画面よりDisplayを選択しEnterキーを押下します。
f:id:treedown:20150713004737p:plain

DispalyメニューではGraphics Deviceの設定値が[NVIDIA Optimu]となっています。
※確か記憶では初期値だったはずです。これを変更します。
f:id:treedown:20150713004840p:plain

選択肢は3つあります。[NVIDIA Optimus]を[Integrated Graphics]か[Discrete Graphics]に変更するという選択です。ここではいったんチップセット内蔵グラフィック「IntelHDGraphics3000」に固定するために[Integrated Graphics]を選択します。
さらにその下「OS Detection for NVIDIA Optimus」オプションを[Disabled]に設定し、OSからGPUの自動切り替えをさせない設定にします。(※ここをDisabledにするのは「Graphics Device」で指定したGPUが絶対に使われる、ことで問題の切り分けが確実に実施するためです。トラブルシューティングの都合でコンピュータが自動的に判断する設定はすべて止めておく必要があります。)

f:id:treedown:20150713005635p:plain

ここまででGPU固定の設定が完了です。UEFIBIOS)画面を以下のようにして閉じます。

f:id:treedown:20150713010451p:plain

改めてOSが起動したところで、PasswordManagerの動作確認を実施しました。

OS起動時⇒常駐=正常終了
パスワード認証時、パスワード入力を促される⇒パスワードを入力⇒認証正常完了
パスワードマネージャのデータ編集やエクスポートを実行するためのメニューウィンドウの起動⇒パスワードを入力⇒PasswordManager画面が起動

解消しました。(ここまでで1~2時間程度)

あとから追加で確認したのですが、Graphics Deviceの設定値を[Discrete Graphics]に設定しNVIDIA固定にして動作確認してみましたが、症状は発生しませんでした。
このためOptimusテクノロジーを使用することによってこの症状が発生する、という結論に到達しました。(GPU固定していればどちらでも動作しています。)

あとあとになって、よくみるとイベントビューア内に障害が発生しているモジュール名igdumd64.dllという表記があるのでディスプレイ関連だと気付くべきでした。
ig~で始まるファイル名は省電力マネージャーのバッテリー表示を常駐させていた時、explorer.exeが頻繁に動作を停止、のときにもよくログに出てきました。
似たような不具合で有名なところでは2015年3月にWindowsUpdateでKB3033889を適用するとエクスプローラー/タスクバーが固まってしまうという不具合がありました。

この辺は動きがよく似ていて、問題が発生する原因となる機能がタスクバー(かメニューバーとしてデスクトップ上)に表示されているとexplorer.exeが「プログラム応答なし」となってしまって自動再起動(ひどい時は手動でプロセス落として再度コマンドからexplorer.exeを実行が必要)されます。

 原因となるのが、省電力マネージャのバッテリ残量表示をしているタスクバーの常駐だったり、KB3033889でいえばIMEツールバーだったりするわけです。

さらに突っ込んで確認してみると、今回のPasswordManagerが起動しない症状で省電力マネージャのバッテリ情報や省電力設定を確認しようとしたところig~で始まるファイル名(たぶんigfxext.exeだったと思う)でたくさんエラーメッセージウィンドウが出てくることが分かりましたし、SystemUpdateもエラーメッセージが表示され「エージェントの更新の検索」の段階でエラー停止してしまいます。(※いずれもエラーメッセージは取り忘れてしまいました。すいません。)

つまるところOptimusテクノロジーを使用する設定になっている場合、この状況においてはThinkVantageテクノロジーはほぼ全滅ということになると考えられます。
(そもそもWindows8.1Updateでの省電力マネージャの動作はサポート範囲外じゃなかったっけ?動作保証されているのか?というところに疑問符が付きますが)

該当バージョンをお使いの方、もしくは該当バージョンにIntelHDGraphicsがWindowsUpdate自動更新されてしまってお困りの方、お役に立てば幸いです。

 

追記:
後日、別の問題が発生したため、当該ドライバはバージョンダウンを実施しました。

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